企画展「根来寺の“内”と“外”」が始まってちょうど1週間たった2月8日(日)、和歌山大学学生ボランティアによる展示ガイドが初めて行われました。この日は、6人の学生さんたちが、交代で2?3作品ぐらいずつを受け持って解説をしました。学生さんたちは、初めてお客さんの前で展示品の解説をすることに、前日からものすごく緊張し、当日始まる前も足をがくがくと震わせる人もいましたが、何とか無事、解説を行うことができました。参加したお客さんも、その初々しさに目を細めながら、温かく見守って下さっていたようですので、こちらもちょっと安心しました。細かなミスは少なからずありましたが、心配していたような、緊張して声が出ないとか、小さな声でお客さんに聞こえない、というようなことはあまりなく、初めてにしてはまずまずの及第点をあげられるのではないでしょうか。
中には、自作の手書きのパネルを急遽用意して、一生懸命、難しい漢字や、複雑な人間関係を図示しながら説明する学生もいて(写真)、一人一人が自分の解説の仕方に工夫を凝らしていたように思います。そうした姿勢や方法の点で、学芸員としても見習うべき点があり、今回こうした取り組みを行ったことで、博物館にとっても得るものは少なくなかったのではないかと思います。
実は今回の展示ガイドを学生さんたちにやっていただく前には、写真のような形で事前に展示内容についてのレクチャーを行いました。ここでは主に、個々の展示品についてというよりは、展覧会全体の趣旨や、根来寺の歴史などについて、大まかな歴史の流れを説明しています。実は種明かしをすると、今回の学生さんたちは、必ずしも日本史を専攻する学生さんたちばかりではなく、心理学や国際関係を学ぶ学生さんも含まれています。ですので、レクチャーは1から始めなければならず、正直、担当の学芸員としては大変でした。
その後、学生さんたちは展示室で、個々の展示品についてのレクチャーを受けました。この時は学芸員も、展示品の解説というよりは、「ここではこういう風に説明して」とか「こういう順序で説明すると分かりやすい」などと、具体的に解説の仕方をレクチャーします。学生さんたちの頭の中でも、だんだんと具体的なイメージができあがってきて、メモを取るペンにも自然と力が入っています。そしてその後、予行演習ということで1人1品ずつ、仲間の学生さんたちを前に解説をしてもらいました。仲間の前ですら、足が震えたと言っていましたから、学芸員としては内心、ヒヤヒヤでした。
こんな感じで、最初のボランティアガイドは無事終了しました。学生の皆さん、本当にお疲れ様でした。まだこの後もガイドを務める人もいますが、ますますがんばって下さいね。期待しています。
なお、ボランティアガイドは、この後、下記の日程で行われます。
2月14日(土)・2月15日(日)・2月22日(日)・2月28日(土)・3月7日(土)・3月8日(日)
いずれも13時30分から40分間程度。
(学芸員 高木徳郎)
→企画展「根来寺の“内“と”外“」
→和歌山県立博物館ウェブサイト