今日(8月5日)は、博物館実習の3日目のようす。
9:00博物館集合。
9:15朝礼。
9:20からは、昨日の続きで、さまざまな絵画資料の取り扱いです。
まずは、昨日の午前中の復習の意味もこめて、絵巻物の取り扱い。
昨日、古文書で巻子を取り扱って慣れたせいか、みなさん上手に巻いていました。
ただ、今回は太巻(ふとまき)というちょっと特殊な軸もありましたね。
直径の小さい軸で巻いていくと、巻物を傷めてしまうので、太い軸をかぶせてつけて、大きな直径で巻いていくためのものです。
次は、画帖(がじょう)。
画帖は、現在のアルバムのようなもので、色紙を袋綴じ状にしたような仕立てになっているだけですから、取り扱いはそれほどむつかしくありません。けれども、ページをめくるときに、毎回画面の隅の方をさわっていると、手ずれや汚れで画面が傷んでしまいます。それを防ぐために、袋綴じ状になった画面の裏側に指を差し込んで、ページをめくるのが、やさしい画帖の取り扱い方です。こんなことも、知っているのと知らないのとでは、取り扱いを見ている人に与える印象が大きく変わります。
続いては、屏風(びょうぶ)。
まずは、屏風を箱から出して、
袋からも出します。
屏風を持って、置きたい場所の真ん中に置いて、
まず、屏風の真ん中を広げて、右側を広げ、
左側を広げて、微調整。
終わったら、再び袋に入れて、箱に収納しましょう。
さて、これだけすると、あっという間にお昼を過ぎていました。
12:20から13:20までお昼休憩として、
午後からは、工芸品の取り扱い実習。
まずは、陶磁器などのやきものです。
やきものは、茶道道具などは、箱や袋の紐の結び方がむつかしいので、頑張りましょう。
最初は、お茶碗から。
仕覆(しふく)と呼ばれる袋から、慎重にお茶碗を出して、拝見。
茶碗の裏には「偕楽園製(かいらくえんせい)」の銘がありましたね。
再び仕覆に入れて、紐も上手に結べたら、
箱に入れて、箱の紐もきれいに結んで、風呂敷に包んで、
はい、できあがりです。
続いては、茶入(ちゃいれ)。
茶入とは、濃茶用の粉末茶葉を入れておく容器です。
茶入は二重箱になっているので、取り出すのも一苦労。
茶入を使わないときに結んでおく、休め緒はきれいに結べましたか。
茶入の蓋は象牙製で、裏には金箔が貼ってありましたね。茶入そのものも、丁寧に拝見。
ロールケーキのように見えた茶入の底裏には、「清寧(せいねい)」の印がおしてありました。
休め緒や短緒の結び方…やっぱり、むつかしいですね。
こうかな、こうかな…。なんかしっくりこない。
できた。
でも、二重箱だから、ここからも大変なんです。
さて、もう一つは、もっと小さな香合(こうごう)の長緒。
小さいからむつかしい…。
でも、きれいにできました。
そのほか、真横に紐を結ぶ胴紐の結び方や、慳貪扉(けんどんとびら)の開け方、蓋置(ふたおき)、水指(みずさし)、花入(はないれ)など、茶道道具特有のさまざまな形態のやきものを取り扱いましたね。
しっかり、覚えておいてください。
最後は、染織資料の取り扱いで、着物や袴(はかま)の紐のたたみ方を勉強しましたね。
時間がなかったので、実際にやってみるのは、最終日になりそうですが、弓道を習っていた実習生に、袴の紐のたたみ方を実習してもらいました。
今日の午後は、ずっと紐結び。紐を結ぶのが「嫌い」だった人も、少しは楽しくなりましたか。
紐を結ぶのは、文化財を収納するときの基本となります。
僕も、なかなか覚えられませんでしたが、きちっと結べると、かっこいいですよ。
そんなこんなで、紐ばかり結んでいるうちに、あっという間に、17:00。
実習ノートを書いて、終了です。
明日は、マイミュージアムギャラリーの実習です。
実際に、所蔵者(実習生の一人ですが)から聞き取りをしたり、作品の解説を書いたり、展示作業をしたり…。
楽しみですね。(学芸員 安永拓世)