和歌山市立伏虎中学校の2年生の生徒2名が、10月20日から22日までの3日間、職場体験学習の一環として、博物館の仕事をお手伝いしてくれました。
まず、1日目は、いつものとおり、博物館の裏側までじっくり見学。
展示室をはじめ、展示準備室やくん蒸庫、収蔵庫など、どこにどんな部屋があるのか、覚えられたでしょうか?
博物館の空調や電気設備を管理する中央監視室では、収蔵庫の温湿度を一定に保っているしくみや、火災の際に散布される特別な消火剤の説明なども受けました。
続いて、2日目の午前は、博物館に送られてくる図録や年報といった図書類の入力作業をお手伝いしてもらいました。
全国各地から送られてきた図録や年報を、都道府県別に分けて、そのタイトルや編著者・発行日などを、パソコンで入力する作業です。
展覧会のタイトルなどは、難しい言葉も多く、読みにくかったり、入力しにくかったり、さまざまです。漢字の勉強にもなりますね。
さて、2日目の午後は、同じく全国の博物館や美術館から送られてくるチラシやポスターなどを、地域ごとに分け、来館者が閲覧できるようにファイリングする作業です。
この時期は、各地でさまざまな展覧会が開催される時期でもあり、連日多くのチラシやポスターが送られてきます。子どもたちのチラシの見方を観察していると、どんなところに注意してポスターを作ったらよいのかという一つの参考にもなりました。
その後は、招待券の整理です。
全国の博物館や美術館からポスターやチラシとともに送られてくる招待券も、きちんと整理して、ファイリングしておきます。そのファイリングもお手伝いしてもらいました。
学芸員にとっては、全国で開催されるさまざまな展覧会へ行って、展覧会の趣旨や展示の方法などを学ぶことも重要です。そうした際に、このような招待券が役立ちます。また、ほかの博物館の招待券などは、みずからの博物館の招待券を作るときの参考にもなるのです。
いよいよ、最終日、3日目の午前は、『全国博物館総覧』を更新する作業をおこないました。
全国には、さまざまな博物館がありますが、『全国博物館総覧』は、それら博物館の情報をまとめて掲載しているものです。
ただ、毎年、博物館が新しく作られたり、あるいは、博物館がなくなったりするので、その情報を追加したり削除したりして、更新していく必要があります。
『全国博物館総覧』という本は、紐(ひも)でとじる簡単な形式になっており、毎年、その追加したり訂正したりするページ部分のみが送られてくるので、更新部分を新しいページに差し替えるのです。
古いページと新しいページが混乱したりして、この作業が意外に大変です。
2人が、きちんと丁寧に更新してくれました。
3日目の午後は、受付・ミュージアムショップ・監視などで来館者への対応も体験してもらいました。
受付では、入館手続きの際にチケットを渡したり、
出陳資料の目録を折ったり、使用された音声ガイドをきれいにして片付けたりもしました。
ミュージアムショップでは、値札をつけたり、封筒を作ったり、
売れた図録を補って、棚卸し(たなおろし)をしたり、
休憩室で飲み物をご注文された来館者に、紅茶を出したりもしました。
会場で、展示室の様子を見守っている監視も、重要な仕事です。
いろいろとお手伝いいただき、ありがとうございました。
2人に職場体験の感想をきいてみると、
「ぼくは、職場体験学習の3日間いろいろな貴重な体験をさせてもらいました。初日はいそがしいにもかかわらず、館内見学を隅々までさせてもらい、火縄じゅうや家やすの着ていた着物や、日本刀など色々なものをさわらせていただいたり、とても貴重な体験ができました。」
「博物館内の見学でいろいろな所を見ておもしろかった。仕事は少し疲れたけれど、楽しかったです。本の入力が一番楽しかったです。」
とのことです。3日間、ほんとうに大変だったと思いますが、お疲れさまでした。また、博物館へ遊びに来てくださいね。
なお、来週も、別の中学校の職場体験の中学生を受け入れる予定になっています。
本日の夕方には、来週の生徒さんが、事前訪問であいさつに訪れてくれました。
博物館としても、毎週、体験してもらう仕事を準備しておくのは大変ですが、素直に頑張る子どもたちに接すると、こちらの心も和みます。
ご来館者のみなさまも、ご理解・ご協力のほど、何とぞよろしくお願いいたします。(学芸員 安永拓世)