レプリカの仮面の作製方法について
和歌祭・面掛行列で使用されてきた仮面は、和歌山県指定文化財に指定されています。これらの仮面のレプリカを作製するにあたっては、資料を破損させないことがなにより重要です。
今回、和歌山県立和歌山工業高校産業デザイン課の全面的な協力をえて、三次元レーザー測量による非接触のデータ測定とデータの修正、ABS樹脂を用いた立体プリンターによる形成という方法を取ることで、耐久性も兼ね備えた、画期的なさわるためのレプリカ作りを実現しました。
作業のはじめに今回取り扱う仮面について、学芸員が解説を行い、重要な資料であることの共通認識を、生徒のみなさんにもってもらいました。
右手前にあるのが、三次元レーザー測量の器械。仮面の取り扱いは学芸員が行い、生徒たちがパソコンを操作して、仮面のあらゆる角度からデータを取得し、そのデータを統合させていきます。
レーザーで測定したデータには、細かな点で実物との相違もあります。そうした修正を、時間をかけて一つずつ行っていきます。
できあがったデータを、立体プリンターで造形化し、完成です。一面の打ち出しには、24時間?30時間ぐらいかかります。授業の一環として、約2ヶ月かけて仮面レプリカを作製してくれた生徒のみなさんからは、「自分の作った仮面が、たくさんの人にさわってもらえるのはうれしい」「古い仮面に間近に接することができてよかった」といった感想をいただいています。
できあがった仮面のレプリカです。
アクリル絵の具で着色し、完成です。右は実物です。