髙城家の初代とされる庄蔵重弘は、北条氏落城後、徳川家康に切米100俵で鷹匠として召し抱えられ、
その後、駿府城で徳川頼宣の「御付」として切米30石が与えられました。
元和5年(1619)、頼宣の紀伊国転封にともなって、紀州に入国しています。
髙城家家紋入り陣笠 個人蔵 〔展示番号38〕
鷹匠を家業とした髙城家には、鷹道具がたくさん残されています。
その多くは、庄蔵重張を初代とする分家の髙城家に伝来したものと考えられます。
ただ、鷹の調教や狩りの知識・技術の解説書である「鷹書」のなかには、江戸時代前期にさかのぼるものもあります。
鷹書のうち養生巻 個人蔵 〔展示番号42〕
こうした鷹書が伝来した背景には、断絶した髙城家本家に残されていた資料が、
分家の髙城家に引き継がれた可能性が考えられます。
髙城家に伝来した資料は、由緒を記した古文書だけでなく、鷹匠に関する道具なども残されており、
家臣の家業(鷹匠)を具体的に知ることができる貴重な資料といえます。
鷹道具のうち韘(ゆがけ) 個人蔵 〔展示番号43〕
つづく
次回のミュージアムトークは7月9日(日)です。
(主任学芸員 前田正明)
→企画展「紀伊徳川家の家臣たちⅡ」