企画展「江戸時代の紀州の画家たち」の関連コラム
「紀州の画家紹介」
6回目にご紹介するのは、笹川遊泉(ささがわゆうせん)です。
笹川遊泉(ささがわ・ゆうせん)
◆生 年:天明8年(1788)
◆没 年:未詳
◆享 年:未詳
◆家 系:紀伊藩士の鷹匠同心(たかじょうどうしん)である林柳蔵(はやしりゅうぞう、生没年未詳)の弟。
後に、紀伊藩のお抱え絵師である初代笹川遊泉顕信(ささがわゆうせんあきのぶ、1767~1820)の養子となる。
◆出身地:未詳
◆活躍地:紀伊
◆師 匠:笹川遊泉顕信(養父)
◆門 人:笹川遊原昌信(ささがわゆうげんまさのぶ、1828~81)(養子)
◆流 派:狩野派(京狩野?)
◆画 題:人物・花鳥(鷹の絵)など
◆別 名:由信
◆経 歴:紀伊藩のお抱え絵師。養父の初代笹川遊泉顕信は、文化10年(1813)、紀伊藩10代藩主の徳川治宝(とくがわはるとみ、1771~1852)から登用され、年々金5両をもらう。顕信は、文化13年(1816)に「御勘定奉行支配小普請格」で3人扶持、文政2年(1819)に「御絵師」で5人扶持となるが、文政3年(1820)に54歳で病死。由信は、その跡を継ぎ、2代笹川遊泉となる。兄が鷹匠同心であったことから、鷹の絵を得意としたというが、2代遊泉の作とわかる作例は少ない。
◆代表作:山本楽所(やまもとらくしょ、1764~1841)賛「孔子像(こうしぞう)」(和歌山県立博物館蔵)
今回展示しているのは、代表作である山本楽所賛「孔子像」(和歌山県立博物館蔵)です。
(以下、いずれも画像をクリックすると拡大します)
款記は無く、印章は「笹川遊泉」(白文重郭方印)と、「源由信印」(白文回文方印)です。
上部には、紀伊藩の儒学者である山本楽所(やまもとらくしょ、1764~1841)の賛があります。
中国の哲学者である孔子を描いたこうした主題は、狩野派の得意としたものです。「源由信印」の印章から、二代遊泉が描いたことがわかる、貴重な作例といえます、
なお、賛には、孔子の弟子である子貢が、孔子をたたえた言葉が書かれています。(学芸員 安永拓世)
→江戸時代の紀州の画家たち
→和歌山県立博物館ウェブサイト