スポット展示
粉河鋳物師の獅子 (こかわいもじ の しし)
会期:令和2年(2020) 10月18日(日)~11月23日(月・祝)
会場:和歌山県立博物館 2階学習室スポット展示コーナー
ただいま開催中の創建1250年記念特別展「国宝粉河寺縁起と粉河寺の歴史」に合わせまして、江戸時代に粉河寺の門前で工房を構えて活発に活動を行っていた粉河鋳物師の作品を紹介します。
粉河鋳物師には、蜂屋、木村、福井などの家があり、法具類から仏像、梵鐘まで、大型の鋳造品を含む仏具の製造、販売を中心に行っていました。紀の川流域や高野山周辺の寺社を調査すると、近世の仏具類の多くに、粉河鋳物師の名を含む銘がみられるほか、江戸で活動する一派も確認されています。
蜂屋は寛永8年(1631)に藩主・徳川頼宣に御(お)目(め)見(みえ)を許され、代々「蜂屋正勝(はちやまさかつ)」を名乗るよう命じられました。粉河寺境内では、蜂屋正勝が寛延4年(1751)に制作した本堂高欄擬宝珠(ぎぼし)や、安永4年(1775)に制作した盥漱盤(かんそうばん)など、多数の鋳造品が伝来しています。今回の展示資料である巌頭獅子置物(がんとうししおきもの)は、その高い技術水準を遺憾なく発揮した優作です。(主任学芸員 大河内智之)
粉河作巌頭獅子置物 蜂屋正勝作 江戸時代 和歌山県立博物館蔵
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参考1 本堂高欄擬宝珠 蜂屋正勝作 江戸時代 寛延4年(1751) 粉河寺蔵
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参考2 粉河寺盥漱盤 蜂屋正勝作 江戸時代 安永4年(1775) 粉河寺蔵
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