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企画展 古文書が語る紀州の歴史

企画展「古文書が語る紀州の歴史」のコンテンツ公開が少し遅れておりますので、博物館ニュースにまず概要等を掲載します。


企画展 古文書が語る紀州の歴史


 和歌山県には、高野山や熊野三山などの大寺社に膨大な数の古文書が残され、古代以来の紀州の歴史を解明する史料として、現在、様々な場面で活用されています。しかし、和歌山県内に残された古文書は、これらばかりではありません。県内各地域に点在する中小の寺社や個人宅、さらには信仰集団である講などにも、実に個性豊かな古文書群が残されており、紀州という地域の歴史的位置づけを知る上で、かけがえのない価値をもった史料が多くみられます。
 今回の企画展では、紀北から紀中地域に残る中世文書を中心に、村や町を舞台に活動する土豪や一般庶民の生産や暮らし、信仰や娯楽など、リアルな日常生活の実像がうかがえるものを数多く展示しています。くずし字で書かれていて、なかなか親しみやすいものとは言えない古文書ですが、古文書を見る時のコツなども解説していますので、どうぞごゆっくりとご覧頂き、中世の紀州で、必死に毎日を生きていた人々の息づかいを、少しでも感じていただけたら幸いです。


主催   和歌山県立博物館
会期   平成20年(2008) 9月 6日(土)?10月 5日(日)
会場   和歌山県立博物館 企画展示室
休館日  毎週月曜日
     (但し 9月15日(月・祝)は開館、翌16日(火)が休館)
開館時間 午前 9時30分?午後 5時(入館は午後 4時30分まで)
入館料  一般260円(210円)  大学生150円(120円)  
     ※(  )内は20人以上の団体料金
     ※高校生以下、65歳以上の高齢者、障害者手帳をお持ちの方、
      および県内に在学中の外国人留学生・就学生は無料


ミュージアム・トーク(学芸員による展示解説)のお知らせ
  9月14日(日)・15日(月・祝)・20日(土)・23日(火・祝)・28日(日)
  いずれも午後1時30分?午後2時30分 申込不要/入館料必要


展示資料の一部を紹介
僧湛慶田地譲書
僧湛慶山地譲状 久寿2年(1155) 願成寺蔵
 現在の海南市北部にあたる三上荘を開発した湛慶上人が、開発した山地を弟子に譲り渡した時の証文です。はじめ、「深山」を切り開いて願成寺を建立し、その周辺の山地を開発していったと記されています。平安時代後期は、全国的に未開の山地が伐り開かれた時代で、そういう時代の風潮を反映するかのように、この文書でも、「黒山は伐り掃うを以て主となす」と記されています。「黒山」とは未開の山地を表し、そこは最初に伐り払った者がその所有者となるという、当時の土地所有観念を象徴する言葉が記されています。
粉河寺寺務御教書
粉河寺寺務御教書 正平13年(1358) 若一王子宮講会蔵
 粉河祭の原型とも言える粉河寺六月会。この祭は南北朝時代には行われていたようで、粉河寺周辺の村々から、村人が「頭役」と呼ばれる一定の負担をおこなって、祭を支えていました。この文書は、この祭で奉納される相撲の「頭役」をめぐって、東村と荒見村のふたつの村が争って裁判を起こした際、これを裁許した粉河寺から下された判決文です。裁許は東村の勝訴とするものですが、この後もたびたび、六月会をめぐる村同士の裁判が繰り返されました。祭は村や村人にとって、その名誉に関わる重大な意味をもっていました。


展示資料目録など詳細は近日中にコンテンツを作成・掲載いたします。もう少しだけ、お待ち下さい。
みなさまのご来館をお待ちしております。(学芸員大河内智之) 

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