特別展「華麗なる紀州の装い」の前期展示は本日(5月15日)までです。
染織品は、日本の文化財の中でも、もっとも弱く、傷みやすいものでもあるため、国宝や重要文化財などの国の指定文化財については、光量や展示日数についての規定が設けられています(約80ルクスの光量で、1年間の展示日数60日以内)。
そのため、今回の展覧会でも、一つの資料にかかる光量などの負荷を少なくするため、多くの資料について、展示替えをおこないます。
現在展示している資料の、約半数は、前期のみの展示となり、すなわち、本日(5月15日)までの展示となります。
前期展示の主な展示資料としては、
国宝 衵 香雲立涌文固綾 国宝 衵 萌黄小葵文固綾
(古神宝類のうち) 熊野速玉大社蔵 (古神宝類のうち) 熊野速玉大社蔵
重要文化財 萌葱唐花尾長鳥文様繡狩衣 重要文化財 赤茶地雲文紗長絹
(能装束のうち) 古沢厳島神社蔵 (能装束のうち) 古沢厳島神社蔵
重要文化財 紺地宝尽小紋小袖(徳川家康所用) 紀州東照宮蔵
和歌山県指定文化財 和歌山県指定文化財
萌葱地葵紋散金襴狩衣(徳川家康所用) 蜀江錦法被(徳川家康所用)
紀州東照宮蔵 紀州東照宮蔵
和歌山県指定文化財 和歌山県指定文化財
常装束 袍 左方 紀州東照宮蔵 新靺鞨 袍(赤地輪無唐草文紗) 紀州東照宮蔵
赤地唐草文金糸入縫取織七条袈裟 報恩寺蔵
などがあります。
今回、修理後の初公開となる古沢厳島神社の4領の能装束は、前期展示と後期展示で2領ずつの展示となります。また、しばらくの間は、展示する機会がないと思いますので、ぜひ、この機会に、修復でよみがえった姿をご覧ください。
また、今年の3月に和歌山県指定文化財に指定されたばかりの和歌祭の舞楽装束は、前期展示では、左方(さほう)の装束を紹介しています。
舞楽は、主に古代中国から伝来した音楽を中心とする左方(唐楽)と、主に朝鮮半島から伝来した音楽を中心とする右方(高麗楽)に分けられます。舞楽の装束にも、この左方と右方の区別が反映され、左方は赤系統の装束、右方は緑や青系統の装束を用いました。前期展示では、左方の舞楽装束を主に展示しています。後期展示の、右方の装束と比べて見てみるのも面白いかと思います。ぜひ、前期展示で左方の赤色の華やかな舞楽装束をご覧ください。
なお、前期展示最終日の本日(5月15日)は、
ミュージアムトーク(展示解説)も開催されます。
時間は、13:30~14:30です。
入館券をお求めのうえ、企画展示室の入り口にお集まりください。(学芸員 安永拓世)
→特別展 華麗なる紀州の装い
→和歌山県立博物館ウェブサイト