特別展「聖地巡礼-熊野と高野-」第4期 好評開催中!

皆さま、あけましておめでとうございます。
開催中の世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録20周年記念特別展 聖地巡礼 ―熊野と高野― 第Ⅳ期 熊野信仰の美と荘厳 ―熊野速玉大社の神像と古神宝―」も、折り返しを過ぎ、いよいよ終盤となってまいりました。
今回の博物館ニュースでは、展示室の様子を、簡単にご紹介しようと思います。

国宝の神像と古神宝に囲まれた展示室。恐れ多くも社殿の中へお邪魔しているような気持ちになります。

本展は、全5章に分かれています。
まずⅠ章は「熊野速玉大社の神々」。国宝の神像2軀(熊野速玉大神坐像【2】と夫須美大神坐像【3】)とともに、熊野速玉大社周辺の信仰文化を物語る絵図(新宮本社末社之図【1】)、摂社・阿須賀神社裏の蓬莱山から出土した懸仏【4~7】をご紹介。

みどころは、やはり国宝の神像でしょう。本展は、間近で神像を拝見できる貴重な機会となります。
威厳と気品にあふれるたたずまいは、展示室の中でもひときわ存在感を放っています。
ともに像高約1メートルと大きく、内刳りを施さない一木造り。大きさとともに重さまで感じていただけるでしょうか。

大きく、気品あふれる国宝の神像。

続いて、Ⅱ章以降は、熊野速玉大社の国宝・古神宝類にフォーカスした章です。
明徳元年(1390)、新宮の13の神々のくらしのために奉納された膨大な数の古神宝を、大まかなカテゴリに分けて展示しております。

Ⅱ章は、「神々への捧げもの」。
古くの神宝の記録に必ず含まれる武具(金銀装鳥頸太刀【9】、桐文蒔絵平胡籙【10】)や紡績具(松鶴蒔絵苧笥【11】、金銅鎛【12】、松喰鶴蒔絵桛【13】)、鏡(桐唐草双鶴文鏡【14】を、神宝の目録(熊野山新宮神宝目録【参考1】、熊野山新宮御神宝内外御装束之事御調進造替之文目録【8】)とともに展示しています。

見どころは、武具に施された華やかな装飾。太刀・平胡籙ともに、最も格の高い様式に拠っており、速玉大神の格の高さを思わせます。

金銀で飾られた、速玉大神のための太刀。

山金物の地は細かく魚々子を打ち、細部まで装飾が尽くされます。

Ⅲ章は、「神々の装い」。
遺例稀な、神のために納められた服飾具の数々を展示します。貴族の装いに準じた華やかな品々。大河ドラマ「光る君へ」をご覧いただいた方などは、その世界を想像されることでしょう。
染織品としては、衵(衵 萌黄小葵文固綾【15】)、唐衣(唐衣 緯白小葵文固綾【17】)、裳(海賦裳 白小葵文固綾【18】)を展示中。
施された文様は、いずれも刺繍ではなく、織物です。大変な手間を掛けて、神々の美しい服を作っています。

600年前の染織品をこのように拝見できるのは奇跡に近いことです。

のぞきのケースでは、冠【参考2】、玉佩【19】、彩絵檜扇【20】、錦包挿鞋【21】を展示中。

Ⅳ章は「神殿での暮らし」。
神々へ納められた神宝からは、神々が神殿で人と同じような暮らしをしている、そんなイメージを想起させます。
桐唐草蒔絵手箱【22】は、中でも今の暮らしをイメージしていただきやすい品。内容品の隅々まで尽くされた工芸の技を、是非じっくりとご覧いただきたいと思います。内容品とみられている紅帖紙【23】もあわせてご紹介。

手箱本体も、金銀さまざまな装飾技法を駆使して美しく飾ります。

壁1面に並んだ手箱と内容品の数々は圧巻。細部まで装飾がなされています。

扉を挟んで、掛け布団(衾 黄地浮線綾丸文唐織物【24】)、衣桁(銀蒔絵衣架【25】)、衣装ケース(松喰鶴蒔絵御衣箱【26】)を展示。
衣を飾る調度、収納具の隅々に至るまで手を抜かず、豪華に飾っています。美しい装飾とともに、想像された神々の暮らし、そしてそれをデザインする人々の信仰心に、ぜひ思いを馳せていただきたく思います。

Ⅴ章は「名宝を伝えて」。
神像の制作からは1000年以上、神宝の奉納からは600年以上が経っていますが、それらを今展覧会で拝見できるのも、人々が必死に守り伝えてきたからに他なりません。
宝物の状態を支えたであろう唐櫃【27】や、火災や流出から人々が守った檜扇【29】、明治・昭和の神像修理の記録【30、参考3】、現在も行われる古神宝の修理のご紹介【参考4・5】を行っています。名宝を伝える人々のこころに思いを寄せていただければと思います。

火災や流出の危機を越えて、近年大社に戻ってきた檜扇。その伝来からは、地元の人たちの宝物を守り継がんとする強い思いが感じられます。

昭和の修理に関わった技師・西村公朝のノート。実物とともに公開するのは初。神像・古神宝が受けつがれてきたことの尊さにも思いを寄せていただきたいと思います。

以上、簡単ではございますが、展覧会の様子をダイジェストでご紹介しました。
実は今年は、古神宝類の国宝指定から70年、神像の国宝指定から20年のメモリアルイヤーなのです。
是非、この機会に、熊野速玉大社の国宝の数々をご覧いただき、それらから神々への祈りの歴史を感じていただきたいと思います。

常設展示室「熊野詣」コーナーでは、コーナー展示「熊野速玉大社と古神宝」を開催。
ご紹介しきれなかった古神宝や、関連の館蔵品をさらに展示しています。

エントランスホールでは、先日放送されたNHK「国宝へようこそ」を上映。
また、昨年度より熊野速玉大社ほかと協力して制作している国宝・家津御子大神坐像と国宝・国常立命坐像(ともに熊野速玉大社蔵)の複製と、その制作の様子をご紹介しています。 
なお、複製の制作について、詳しくは博物館ニュース(熊野速玉大社御神像複製彩色ワークショップ開催 | 和歌山県立博物館熊野速玉大社国宝御神像複製の奉納奉告祭 | 和歌山県立博物館)をご覧下さい。

エントランスの御神像複製関連コーナー。地元の子どもたち、県内の高校生大学生なども制作に関わりました。

 

展覧会図録(700円)も販売中ですが…多くのお求めをいただき、会期中で売り切れてしまいそうです。
郵送購入もご利用いただけますので(ご購入いただける刊行物 | 和歌山県立博物館)、お求めの方はお早めにご連絡ください。

展覧会図録、そろそろ売り切れです。

ミュージアムトーク、博物館講座、そして初の試み「館長トーク」も、大変多くの方にお越しいただきました。

担当学芸員によるミュージアムトークの様子。2回のトークで計53名の方にご参加いただきました。

1/5、館長トークの様子。参加者が90名を越え、急遽会場を学習室へ移して開催。大盛況でした。

1/19の閉幕まで、2回のミュージアムトーク(1/11,19)と博物館講座「神のすがた-熊野速玉大社御神像-」(1/12)が予定されています。
是非、これらにも、足をお運びいただければ幸いです。

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