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緊急アピール・文化財の盗難多発中!注目資料(4)

【狙われ盗まれた中津川行者堂の文化財】
 紀の川市中津川の山中に、葛城修験の重要拠点で、近世まで聖護院の直轄寺院であった中津川行者堂(極楽寺)があります。
行者堂外観
中津川行者堂。麓の集落から、かなり離れた山中にある。
 平成2年(1990)9月、平安時代後期の阿弥陀三尊像(和歌山県指定文化財)や、不動明王坐像など仏像六体が盗まれました。阿弥陀三尊像は、脇士の観音菩薩・勢至菩薩が跪坐(正座のような座り方)する、貴重な作例でした。
行者堂阿弥陀三尊像
盗まれた阿弥陀三尊像(平安時代後期、和歌山県指定文化財)
 盗まれた不動明王像について、写真やデータは何も残されていません。ただ唯一、その壊れた脚部の部材が現場に残されていました。この部材を見る限り、不動明王像は片足を踏み下げた姿の像で、鎌倉時代?南北朝時代頃の作であったと見られます。今回はこの脚部材を展示します。
行者堂不動脚部
現場に残されていた不動明王像の脚部材(今回の展示資料
 中津川行者堂では、平成22年4月にも堂の外につられていた鰐口などが盗まれ、さらに8月に入って、本尊である役行者及び前鬼後鬼像などが盗まれました。役行者の像高97?、前鬼が60?、後鬼が62?です。
行者堂役行者像
盗まれた役行者及び前鬼・後鬼像
 堂内には他にも文化財が残されていますが、これ以上の被害を出さないために、緊急避難としてそれら文化財は現在博物館に輸送し、保管しています。
・企画展「「文化財」の基礎知識―緊急アピール・文化財の盗難多発中!」(11月13日?平成23年1月10日)
→和歌山県立博物館ウェブサイト

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