和歌山市立西脇中学校の2年生の生徒2名が、10月13日から15日までの3日間、職場体験学習の一環として、博物館の仕事をお手伝いしてくれました。
職場体験学習とは、生徒が事業所などの職場で働くことを通じて、実際の職業や仕事について体験したり、働く人々と接したりする学習活動のことです。こうした体験によって、生徒が働くことの意義を理解し、主体的に進路を選択できるようになることが大きな目的の一つといえます。
1日目は、博物館の裏側までじっくり見学。
博物館で色々な仕事を体験するには、まず迷路のような博物館の建物に慣れることです。
博物館の空調や電気設備を管理する中央監視室でも、収蔵庫の温湿度を一定に保っているしくみなどの説明を受けました。
1日目の午後は、まず、案内状の発送をお手伝いです。
同封する案内状を折って、封筒に入れて、封筒には宛名シールを貼って、封をします。
そのあとは、展示準備室の掃除。
大きな展示替えの後は、何かと展示準備室も散らかってしまいます…。
続いて、2日目の午前は、博物館に送られてくる図録や報告書といった図書類の入力作業と整理。
まずは、送られてきた図録や報告書を、パソコンに入力する作業。
次に、入力した図書を一つずつきちんとした場所に配置していかなければなりませんが、これもなかなか根気のいる仕事です。
2日目の午後は、全国の博物館や美術館から送られてくるポスターやチラシなどを、地域ごとに分け、その展覧会の開催順にまとめて、来館者が閲覧できるようにファイリングする作業をしました。
「○○市って何県?」などという言葉が飛び交い、日本の地理の知識が求められる仕事です。
それにしても、都道府県から表記しない美術館や博物館のチラシやポスターって意外に多いですよね。子どもたちだけではなく、その地域にくわしくない人たちに対しては、ちょっと不親切な広報なのかもしれません。
3日目の午前は、収蔵庫の掃除です。
収蔵庫の一部に敷かれている畳(たたみ)を上げて、その下も丁寧に掃除機をかけました。
収蔵庫の隅の方や、階段の角も、きれいに掃除。
いよいよ3日目の午後は、職場体験も終盤です。
受付・ミュージアムショップ・監視などで来館者への対応も体験してもらいました。
受付では、チケットの裏にスタンプをおしたり、入館手続きの際にチケットを渡したり。
手渡すアンケート用紙を折ったりもしました。
ミュージアムショップでは、値札をつけたり、お買いあげいただいた商品を手渡したり。
一括でお買いあげいただいた書籍を郵送する手配をしたり。
会場で、展示室の様子を見守っている監視も、何かと大変な仕事でした。
いろいろとお手伝いいただき、ありがとうございます。
2人に職場体験の感想をきいてみると、
「最初の日の職場体験で館内をすみずみまで見せてもらい一番驚いたのは、刀と鉄砲の重さでした。刀は重すぎて振るのもしんどそうだったし、鉄砲は撃ったときの反動を考えると打てそうになかったです。最後の日には、受付やミュージアムショップの手伝いもさせていただいて貴重な経験をさせてもらいました。」
「職業体験は、博物館にこれてよかったと思います。収蔵庫などに入れたりしたり、資料の整理をしたりとかいろいろな事ができたのでよかったと思います。収蔵庫のそうじをしたりするのは、すごくたいへんだったけど仕事がどんなものなのかをだいたいわかったので本当によかったと思いました。」
とのことです。3日間、いろいろ大変だったと思いますが、2人にとってこの職場体験がよい経験になればいいですね。そして、将来、学芸員や博物館の仕事に少しでも興味をもって、また、博物館へ遊びに来てくれることを願っています。
今後も、博物館では、このような職場体験学習やインターンシップの生徒を受け入れていく予定です。
ちなみに、来週も再来週も、職場体験の受け入れが続きます。
ご来館者のみなさまも、ご理解・ご協力のほど、何とぞよろしくお願いいたします。(学芸員 安永拓世)