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館蔵品の那智三瀑図が県指定文化財に!

那智三瀑図(20100401)(画像クリックで拡大)
当館所蔵の那智三瀑図(野呂介石筆)が、このたび和歌山県指定文化財になりました。
 野呂介石(1747?1828)は江戸時代後期の紀州を代表する文人画家で、和歌山城下の町人の子として生まれ、47歳で紀州藩に登用された後も、藩務のかたわら多くの作品を残しました。我が国の初期文人画家として名高い祇園南海(1676-1751)、桑山玉洲(1746-1799)とともに、紀州三大文人画家の一人とされます。
 本図は、作者が何度も描いた那智の滝を主題とし、那智の一の滝を画面のほぼ中央に据え、周辺の堂社などは一切描かず、一の滝の上流に位置する二の滝、三の滝を俯瞰 して一画面に描いています。
 対角線を意識した構図や、一の滝の下に設けられた広い余白が、滝の水しぶきや画面の奥行きを感じさせ、画面下の左右に配された斜めの土坡と樹木は広い余白とのバランスを保っています。また、全体を色彩の面と点で表現する彩色法は、画面にさわやかで明るい印象を与え、とりわけ紅葉した樹葉の描写が美しい。地理的な説明を全く加えず、紅葉のグラデーションと滝の美しさのみを見事にとらえた穏やかでおとなしい表現に、介石らしい画風がうかがえます。
 本図は、那智の滝と紅葉という単純なモチーフの中に、実景らしい描写と、介石がこれまで身につけてきた日本や中国絵画における山水画の構図や描法をたくみに取り入れた作例であり、介石画の最も優れた代表作といえるでしょう。
平成23年3月15日指定の和歌山県指定文化財一覧は次のサイトでどうぞ。
新指定文化財(和歌山県教育委員会文化遺産課)

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