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2月26日由良町で現地学習会が開催されました。

 2月26日(日)13時30分から由良町中央公民館で、現地学習会「歴史から学ぶ防災2016-命と文化遺産とを守る-」が開催され、94人の参加がありました。
IMG_4617(研修会)
 司会は、和歌山大学紀州経済史文化史研究所特任准教授の吉村旭輝さんにお願いしました。
IMG_4613(司会吉村さん)
 まず、主催者を代表して、当館の苗代副館長が開会の挨拶を行いました。
IMG_4615(苗代副館長)
 続いて、5人の方々に報告をおこなっていただきました。
 由良町文化財保護審議会委員長大野治さんの「由良町の地震・津波の記録と遺跡」の報告では、まず記録に残る由良町を襲った地震・津波についてお話しいただきました。そのうえで、安政地震津波については記録に記された痕跡を示す遺跡・供養墓などを紹介していただき、昭和南海地震津波については、聞き取り調査に基づく浸水被害の状況を具体的にお話しいただきました。
IMG_4622(大野さん)
 由良町文化財保護審議会委員小出潔さんの「津波と船」の報告では、安政地震津波を中心に、当時日本近海に出現した外国船の問題とも絡ませてお話しいただきました。さらに、現在の印南町出身で医者の羽山大学が記した詳細な津波被害状況などを記した記録も紹介していただきました。。
IMG_4624(小出さん)
 神戸大学大学院人文学研究科特命講師木村修二さんの「由良町の安政地震津波記録の諸本」の報告では、まず日本で起こった過去の地震津波の記録がどのような形で活字化されているかを紹介していただきました。そのうえで、由良町域に残る安政地震津波の記録が紹介され、われわれはそうした記録を残していくとともに、その内容を理解するために、現代語訳などをおこなっていく必要があるとお話しいただきました。
IMG_4638(木村さん)
 和歌山県教育庁文化遺産課副主査三本周作さんの「浄土真宗寺院の文化遺産-由良町内の寺院を例に-」の報告では、由良町域の海岸部を中心に浄土真宗が広まっていった背景をお話しいただきました。そのうえで、日々お寺で礼拝の対象となっているご尊像がどのような背景で祭られるようになったかをお話しいただき、ご尊像が具体的に制作された事情を大引の浄明寺を例にお話しいただきました。
IMG_4651(三本さん)
 歴史資料保全ネット・わかやま会員浜田拓志さんの「文化遺産を未来に伝える-由良町における町誌資料と民俗資料等の実践-」の報告では、過疎化や郷土意識の希薄などが要因となって、地域に残る文化遺産が散逸・消失していく危機があるなかで、由良町誌編さんが一つのきっかけになり、編さん事業が完了したのちも大野治氏や由良町教育委員会が中心となって、地域の文化遺産を整理し、空き教室に保管して行こうとする取り組みが行われていることを紹介されました。
                    
IMG_4655(浜田さん)
 最後に、ご後援をしていただきました由良町教育委員会の寒川正美教育長様から、閉会の挨拶を兼ねて、今回の学習会の感想をお話しいただきました。
IMG_4668(寒川教育長)
 閉会後、希望者を募って行われたワークショップには9人の方にお集まりいただきました。姫路大学人文学・人権教育研究所准教授松下正和さんの司会のもと、まず今回の学習会の感想をお聞きしました。そのあと、ハザードマップを見ながら、居住地での防災の取り組みなどについて、意見交換をしました。
IMG_4689(ワークショップ)
 由良町、由良町教育委員会のご協力も得て、盛況のうち終わることができました。心からお礼申しあげます。
(主任学芸員 前田正明)
災害記念碑一覧
和歌山県立博物館ウェブサイト

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