有田川町 田殿丹生神社 丹生明神・高野明神坐像のお身代わり神像奉納について

県立博物館では、県立和歌山工業高等学校、和歌山大学教育学部等の教育機関の協力を得て、3Dプリンタを用いた文化財の精巧な複製を作り、文化財の防犯や防災の対策への活用を図っています。高齢化や人口減少などの要因により、管理や保全が困難になっている地域の寺社にある文化財を博物館で保管し、かつ、信仰されてきた環境を維持するための取り組みで、平成24年度から令和4年度までに、県内21か所の寺社に38体の「お身代わり仏像/神像」を安置しています(※今回奉納分を含むと22か所・40体)。

このたび、博物館でお預かりしている有田川町・田殿丹生神社の丹生明神・高野明神坐像のお身代わり神像が完成し、田殿丹生神社ご関係のもとへ伺って複製を奉納いたしました。製作に携わった県立和歌山工業高等学校の生徒および和歌山大学教育学部ミュージアムボランティアの学生が訪れ、完成したお身代わり仏像を地域住民の代表者にお渡しし、交流を図りました。

日時:令和6年(2024)3月17日(日) 10時開始

場所:田殿丹生神社

参加者:地域住民および田殿丹生神社関係者、県立和歌山工業高等学校産業デザイン科生徒・教員、和歌山大学教育学部ミュージアムボランティア学生

田殿丹生神社の高野明神・丹生明神坐像(左)とその複製(右)


丹生明神・高野明神坐像  

田殿丹生神社蔵  木造  平安時代・12世紀

像高 丹生明神(女神):37.4cm 高野明神(男神):45.3cm

丹生明神と高野明神は、空海を高野山へ導いた地主神として知られている。平安時代・10世紀の「丹生大明神告門(にうだいみょうじんのりと)」には、丹生明神が最初に庵田村石口(あんだむらいわくち、現在のかつらぎ町三谷付近)に降り立ったあと、高野山麓の各地を巡り、「安梨諦」(有田)の「夏瀬丹生(なつせにう)」にやってきたと書かれています。田殿丹生神社の近くに位置する、夏瀬の森のことをさすと考えられ、古くから丹生明神を祀っていた地であることが分かります。丹生明神像(女神)は髪を結い、がい襠衣(がいとうえ)という中国風の衣をつけています。高野明神像(男神)は巾子冠(こじかん)というかぶりものをして、男性貴族の装束を身にまとっています。鮮やかな彩色が良く残り、貴重です。なお、田殿丹生神社にはさらに古い、平安時代・11世紀の丹生明神と高野明神も伝来しています。

 

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