今日は、現在当館で開催中の特別展
「野呂介石―紀州の豊かな山水を描く―」の
博物館講座が開催されました。
昨日の夜あたりからずいぶん寒くなり
今朝もかなり冷え込んだのですが
今日は、NHKの「日曜美術館」アートシーンで
野呂介石展が紹介されたこともあってでしょうか
思っていたよりも多くのご来館者とご参加者に恵まれました。
講座は37人のご参加者がありました。
みなさまお忙しい中、ありがとうございました。
(会場の風景はこんな感じです)
会期も終わりに近づいてきたというのに
じゅうぶんな講座の準備もできておらず
ギリギリまで発表資料を作っていたのですが
どうにか、間に合って良かったです。
講座では、展覧会の図録にも書かれていない内容や
その後、会期中などのみなさまからのご教示で明らかになった点などを
ご紹介しました。
合計4回の講演会を開催した「野呂介石展」ですが
ようやく今回が最後の講演会でした。
展覧会をまとめるような内容になったかどうかは
とても心もとないのですが
講座が終わると、会場からはいくつか質問もいただきました。
その中には
「介石の画風変遷を大きく分けると
どのようになりますか?」
という根本的で、かつ重要なご質問もいただきました。
図録や展示の構成では
こうした介石の画風展開が
少し分かりにくい章立てになっている点もございますし
また、それらの多くは
今後の大きな課題でもありますが
大きく分けると
1 学習期 (30歳代まで) 稚拙さが残る表現
2 若年期 (40歳代) 玉洲風の山水表現
3 模索期 (50歳代) 表現の模索と玉洲の死
4 確立期 (60歳代) 温雅な介石らしい山水表現の確立
5 大成期 (70歳代) 紀伊藩ゆかりの制作依頼など
6 衰退期 (80歳代) 体力的な衰え
のおよそ6期ほどに分けられるでしょうか?
このうち、学習期と若年期の作例は現状では比較的数が少ないので
作品は、およそ4期に大別できるでしょう。
おおまかですが、以上目安まで。
じゅうぶんなお答えになっているかはわかりませんが
何らかのご参考となれば幸いです。
なお、野呂介石展に関連する講演会は
これで終了です。
今後は、12月5日のミュージアムトークを
残すのみとなりました。
30年ぶりの介石展は
もう間もなく終了です。
ぜひ、この機会をお見逃しなく。(学芸員 安永拓世)
→特別展 野呂介石
→和歌山県立博物館ウェブサイト