企画展「江戸時代の紀州の画家たち」の関連コラム
「紀州の画家紹介」
7回目にご紹介するのは、堀端養恒(ほりばたおさつね)です。
堀端養恒(ほりばた・おさつね)
◆生 年:享和元年(1801)
◆没 年:明治13年(1880)6月
◆享 年:80歳
◆家 系:未詳
◆出身地:未詳
◆活躍地:江戸・紀伊
◆師 匠:狩野養信(かのうおさのぶ、1796~1846)
◆門 人:筑紫翠雲(つくしすいうん、1837~1905)
◆流 派:狩野派(木挽町狩野(こびきちょうがのう))
◆画 題:山水・人物など
◆別 名:南岡・晴野
◆経 歴:紀伊藩の絵師。未詳な点も多いが、江戸の木挽町狩野の画家である狩野養信に絵を学び、養信とともに、江戸城の障壁画制作に携わったとの記録がある。
◆代表作:「山水図」(和歌山県立博物館蔵)
今回展示しているのは、代表作である「山水図」(和歌山県立博物館蔵)です。
(以下、いずれも画像をクリックすると拡大します)
款記は「養恒筆」で、印章は「号南岡」(朱文方印)です。
険しい山と、その間を流れる滝、周囲にたちこめる霧を描いた山水図で、右下にはロバに乗って従者を連れた人物も配されています。全体に硬く鋭い筆致で山や岩の形をあらわす描き方や、折れ曲がった樹木、手前の岩肌に濃い墨を施す点などは、狩野派の山水をよく学んだことを示しています。存在感のある山を霧や霞で隠しながら表現する構図などは、幕末から明治時代ごろの狩野派の特徴です。養恒の経歴については、あまりよくわかっていませんが、江戸の狩野派の画風をしっかりと身につけていることがよくわかります。(学芸員 安永拓世)
→江戸時代の紀州の画家たち
→和歌山県立博物館ウェブサイト