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藤原祐長絹貢進状(館蔵品374)

藤原祐長絹貢進状(館蔵品374)

藤原祐長絹貢進状(表)
(藤原祐長絹貢進状) ※クリックで画像は拡大します
【釈文】
進上
  上品八丈絹拾疋
右紀伊国名草郡宇治保司、如本為保司為執行、
所進上如件、
   天治二年四月三日 散位藤原「祐長」
天治2年(1125)、宇治保(和歌山市宇治)保司であった藤原祐長が
これまでの通りの役職につくため、八丈絹10疋を国衙に進上した文書です。
戦国時代に鷺森御坊を中心に発展する「宇治」という地域は、
平安時代には国衙と関わる宇治保であったことがわかります。
この古文書については、文化遺産オンラインや『きのくにの歴史と文化―和歌山県立博物館館蔵品選集―』
でも紹介しているものです。
藤原祐長絹貢進状(文化遺産オンライン)
(↑クリックで文化遺産オンラインのページへ移動します)
また、活字については既に『平安遺文』に2035号文書(保坂潤治氏所蔵東大寺文書)として紹介されています。
ただ、写真を見るとわかるように、裏面(紙背)にも文字が書かれてあります。
この裏面の文字については、これまで紹介されてきていませんでした。
藤原祐長絹貢進状(裏)
※クリックで画像は拡大します。
【釈文】
  (前欠)
 \護摩儀軌〈僧皇円本/疏〉  \息災護摩啓白神分等
 \胎蔵界諸明集
     已上十二帖一結
 \十住心論一部九帖〈一結〉  \大日金剛念誦次第
○\三種悉地法文        \大日金剛念誦次第
○\毘沙門天王儀軌       \蘇悉地羯羅住\〈疏〉
 \求聞持法〈疏〉       \摂真実経抄
 \矜羯薩           \十八《界》契印
 \十八道次第         \聖閻摩徳□威怒王立成神験念誦供
 \大毘盧遮那経広大儀軌    \唐梵文字〈疏〉
 \光明真言儀軌        \西曼荼羅集
  般若破羯羅矜書像品経
  制文極秘          \孔雀儀軌
 \仏説穣麌梨童女経      \薬師次第
 \八家中密印
 \破地獄真言         \薬師頂上光明真言梵字決
 \施餓鬼儀軌         \行住生臥法
 「尊勝破地獄陀羅尼儀軌」(朱書)
 \仏頂尊勝心破地獄転業障出三界秘密陀羅尼
\○護世八天幷十天又聖天法   \延命次第
 \[       ]     \[      ]
  (後欠)
前後欠けていますが、聖教・典籍の目録(リスト)が記されています。
(保坂潤治氏所蔵の)東大寺旧蔵文書であったということからすれば、
この目録も東大寺に関わるもので、
東大寺文書のなかには、この文書に接続するものもあるかもしれません。
平安時代における東大寺と宇治保・紀伊国衙との関係、
さらには東大寺領木本荘(和歌山市)の領有問題との関係など、
今後検討していく必要があるかもしれません。
(当館学芸員 坂本亮太)

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