和歌山県立博物館では、令和5年4月1日付で新館長が着任いたしましたのでお知らせします。
新館長 関根 俊一
元 奈良国立博物館, 学芸課, 普及室長 元 帝塚山大学, 人文学部, 教授 元 奈良大学, 文学部, 教授 元 奈良大学, 副学長 元 奈良大学附属博物館, 館長 |
ごあいさつ
このたび4月1日付けで、14年3か月の長期にわたり重責をつとめられた伊東史朗前館長の後任として着任いたしました。
1980(昭和57)年に、奈良国立博物館学芸課の技官(研究員)となり、工芸室に勤務。毎秋恒例の展覧会として著名な「正倉院展」を担当しました。多い日には1日2万人近いお客様を全国からお迎えし、正倉院宝物に触れていただきながら、天平文化の華やかさのみならず、今日まで1250年以上ものあいだ一度も土に埋もれず伝わった世界にも類のない「伝世品」であることの素晴らしさをお伝えできるよう、先輩に導かれ実践した若き日の経験は、まさに私の原点となっています。宝物を「守り」伝えることの難しさ、何よりも今に生きる人々がそれらを実見して「学ぶ」ためのよりよい場をつくり、そして確実に後世に「伝える」ことの重要性を肌で感じました。
その後、博物館を離れて大学に職を転じ、講義や研究の傍ら各地の文化財を調べる機会も得て、地域の文化財の保護・活用について考えることも多く、とくに2度の大きな震災の経験を通じて、防災やレスキューの重要性もつよく認識することとなりました。
和歌山県は、熊野三山や高野山をはじめ、日本有数の文化・文化財を有しています。博物館は、展示を通じてその魅力を発信する場のひとつです。「守る」ということでは、いずれ来るであろう南海トラフ地震への備えや、文化財の盗難等の問題にも尽力していかなくてはなりません。その点で、非常に大きな役割を担っています。
先人の遺してくれた大切な宝物を、いかにして「守り」「学び」「伝え」てゆくか、皆様のアイディアもお伺いしながら、よりよい博物館づくりに努力していく所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
令和5年4月
和歌山県立博物館 館長 関根 俊一