和歌山県立博物館の概要

 和歌山県立博物館は、1963年に創設された県立美術館を前身に、1971年4月に和歌山県教育委員会所管に属する公立博物館として和歌山城二の丸跡に設立されました。その後1994年7月に、現在の和歌山城南側・和歌山大学教育学部跡地に移転し、県立近代美術館とともに新たに開館しています。

 当館は、和歌山県内に残された豊富な文化財を後世に伝えるため、和歌山県ゆかりの文化財及び博物館資料を、積極的に収集・保管・調査・展示し、その成果を一般に普及するための事業を行っています。館蔵資料の購入・受贈および寄託資料の受託による収集活動は、資料収集基本方針に基づいて、高野・熊野信仰に関する資料や紀伊徳川家ゆかりの品など8項目の分野に関わる資料を収集しています。

 資料の保管にあたっては、文化財の材質に応じた温湿度の厳密な管理を行うために、収蔵庫(6室)及び展示ケース内には独立系統による間接式の空調を導入し、24時間運転を行っています。また、総合的虫菌害管理を行うとともに、文化財の様々な劣化要因の予防にも日常的に留意しています。館蔵資料・寄託資料及び県内の指定文化財については、独自のデータベースを構築しており、資料の管理・研究に利用するほか、一部を来館者用館内端末及び当館ウェブサイト上で一般に公開しています。

 文化財所有者や市町村教育委員会などとの協力体制を構築することにより、その価値を認識されないまま県内地域に残されている多くの文化財を積極的に調査・研究し、その成果を展示や研究発表のほか様々な媒体・手法により、全国に情報を発信しています。その結果、調査・研究した資料が指定文化財となる場合も多くあります。

 展示は、きのくに─和歌山県の3万年の歴史を紹介する常設展「きのくにの歩み─人々の生活と文化─」と、県内の文化財や歴史を主題とした特別展(年間2本)・企画展(年間5~6本)を、常設展示室及び企画展示室を柔軟に使い分けながら、展示される文化財が劣化しないように常に配慮を加えつつ、年度計画により開催しています。展示解説については、展示図録・ミュージアムトーク・子供用クイズ・音声ガイド(自主制作)などにより、多様な来館者の要望に対応できるように配慮してます。

 講演会・博物館講座・文化財情報コーナーの運営及びホームページの公開など、一般向けに様々な形態の普及活動を実施していますが、将来の地域文化財保護の担い手となる児童・生徒・学生に対しては、観賞・見学にとどまらず、職場体験学習・学生ボランティアなど、多様な活用形態がみられるようになった学校教育との連携を積極的に行うことを重視して、内容の充実に努めています。

 なお当館は、文化財保護法第48条の規定に基づく文化庁長官による国宝・重要文化財の勧告出品を行う全国15施設のうちの一つであり、また1997年2月に地域の文化財の保存と公開の拠点となる施設として、文化財保護法第53条の規定に基づく「公開承認施設」に認定され、現在に至っています。

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