昨年、特別展「熊野三山の至宝―熊野信仰の祈りのかたち―」の開催に合わせて、和歌山大学教育学部の地域コミュニケータ論受講生とともに新編那智参詣曼荼羅を作製しました。オープニングイベントでお披露目した学生さんたちによる劇仕立ての絵描きは大好評で、その後も向陽高校などへの出張授業としても披露されたのでした。
新編那智参詣曼荼羅絵解きの制作(1)
新編那智参詣曼荼羅絵解きの制作(2)
新編那智参詣曼荼羅絵解きの制作(3)
新編那智参詣曼荼羅絵解きの制作(4)
オープニングイベント
今年も、和歌山大学海津一郎教授のコーディネートで、地域コミュニケータ論受講生と協同して、新しい絵解きを作ることになりました。今年は、「道成寺縁起」を素材とします。
6月19日、そのスタートにあたって受講生に県立博物館へと足を運んでもらい、まずは展示中の長沢芦雪の絵画、那智参詣曼荼羅・熊野観心十界図、そして道成寺縁起を解説し、絵と物語があわさることで生まれる奥行きを、少し感じてもらいました。その後ホールへ移動して、「道成寺縁起の物語構造―「新編道成寺縁起」制作にむけて―」と題して講義し、画像を見てもらいながら、道成寺縁起の内容とその構造を分析して伝え、新編道成寺縁起を作る方向性を少しばかりお話しました。
最初はお客さんとして長沢芦雪の絵をぼんやり眺めていた学生さんの顔が、最後には自分が当事者なのだと分かってきたようで、だんだん引き締まっていくのがわかりました。頑張ってねー(^^)/
新編道成寺縁起は、まだ影も形もありません。道成寺縁起の物語構造をリスペクトして用いながら、ただし全く新しい内容の物語を、これから学生さんたちが、きっと紡ぎ出してくれると思います。
この新編道成寺縁起、11月13日?平成23年1月10日の会期で開催する企画展「「文化財」の基礎知識」の会期中に、お披露目をする予定です。制作の途中過程は、随時このブログでお伝えしていきます。どうぞおつきあい下さい。(学芸員 大河内智之)
→和歌山県立博物館ウェブサイト