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「災害の記憶」に関わる博物館講座を行いました

 20日(水・祝)、「過去からの警鐘に学び、災害から文化財を守る」というテーマで、博物館講座を行いました。17人の方に参加いただきました。昨春開催した特別展「災害と文化財 ―歴史を語る文化財の保全―」に併せて、昨年5月4日(金・祝)に「先人たちが残してくれた災害の記憶」というテーマで博物館講座を行いましたが、今回の講座では、特別展終了後も当館が行っている「災害の記憶」の共有化の取り組み(災害記念碑や古文書の調査、聞き取り調査)を紹介させていただきました。講座の様子はこんな感じです。
011 講演会風景
 お話しさせていただいた内容は次のとおりです。
 1過去からの警鐘に学ぶ
 これまでに所在を確認した災害記念碑について、どのような種類があり、具体的にどのようなものがあるかについて、主なものを紹介させていただきました。また、記念碑以外の「災害の記憶」を伝える資料も紹介しました。こうした調査を通じて、「災害の記憶」を蘇らせる必要性についてお話しました。
 次に、こうした「災害の記憶」を多くの方々に共有し、将来に継承していくための当館の取り組みを紹介しました。具体的には、①昨年の『災害と文化財』や現在開催している『文化財受難の時代』といった、災害をテーマにした展覧会の開催、②フォーラム『来たるべき〝南海大震災〟に備えて』(2013年2月11日、和歌山県教育委員会主催)や講演会・ワークショップ『歴史から学ぶ防災』(2013年3月16日、災害モニュメントを活かした災害に強いまちづくりの研究」プロジェクト主催)などの開催。こうした取り組みを通じて、地域の人々が、自らの生命と財産(文化財も含む)を守っていく活動へとつながっていけばと考えています。
2災害から文化財を守る
 2011年の紀伊半島大水害に行われた文化財レスキューの一事例として、歴史資料保存ネット・わかやまの活動(被災資料の確認調査、クリーニング作業)を紹介しました。また、災害が起こる前の取り組みとして、①それぞれの地域にある文化財(指定・未指定にかかわらず、が日常の生活のなかで記録し、残してきた地域の歴史を物語る歴史資料なども含む)の所在を確認する。②文化財の写真を撮ったり、リストを作成したりする。③とくに、津浪や洪水の被害を受ける可能性のある場所に保管されているような場合は、可能であれば安全な場所に移動させることも考える必要がある、などとお話させていただきました。
 なお、4月7日(日)に、下記の講演会を行います。
  13時30分~15時 近代美術館2階ホール(博物館となり)
  大河内智之(当館学芸員)「文化財受難の時代―いかに救うか―」
(主任学芸員 前田正明)
→和歌山県立博物館ウェブサイト

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