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お盆の話 ―熊野観心十界曼荼羅①―

熊野比丘尼が地獄の恐ろしさ、供養の大切さ(死者の供養と救済)を説き、
熊野の神仏への喜捨を募り、
熊野の神仏の宣伝をしていた熊野観心十界曼荼羅という絵があります。
この絵には、人の一生を描いたり、
恐ろしい地獄の様子を描いたりしている部分もあるのですが、
「目蓮救母説話」という話も描かれているという点に特徴があります。
これがいくつかある、お盆の由来にまつわる話のうちの一つです。
この熊野観心十界曼荼羅に描かれる目連の話を通じて、
お盆の由来について少しばかりご紹介しましょう。
ブッダの弟子に目連というお坊さんがいました。
この人は神通力という不思議な力を持っていました。
目連は神通力を使って、亡くなったお母さんの様子を見てみました。
すると、お母さんは地獄に落ちていて、鬼に串刺しにされていることがわかりました。
それを見て、目連は悲しみました。
どうやら、お母さんは生きている時に、動物などの生き物を殺したということで、
地獄に落ちてしまったようです。
目連歎き
(串刺しにされている母を見て悲しむ目連)
そこで、目連はお釈迦様にどうしたらお母さんを救うことができるかを相談をします。
すると、お釈迦様から盂蘭盆会(うらぼんえ)で施餓鬼供養(せがきくよう)をするようにアドバイスを受けます。
目連相談
(お釈迦様に相談をする目連)
施餓鬼供養とは、亡くなった人達やお坊さんに、
食べ物などを施し与えるという行事です。
施餓鬼
(盛大な施餓鬼供養の様子)
実際に施餓鬼供養を行ったところ、お母さんを地獄の苦しみから救うことができたそうです。
この話が、お盆(旧暦の7月15日)にご先祖様、亡くなった人達を供養し、
またお坊さんにもお供え物をする由来になっています。
(学芸員 坂本亮太)

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