【第2回】 薄浅葱糸威五枚胴具足 (安藤直清所用)
(うすあさぎいとおどしごまいどうぐそく (あんどうなおきよしょよう))
革製漆塗
1領
江戸時代(17?18世紀)
鉢高51.5? 前胴丈36.6?
和歌山県立博物館蔵
紀伊藩の付家老(つけがろう)を務めた安藤家4代の安藤直清(あんどうなおきよ、1633?92)が着用した具足です。兜(かぶと)は全体に金箔(きんぱく)を貼(は)った烏帽子形(えぼしなり)となっています。胴は革製ですが、中央に縦の稜線(りょうせん)が入った南蛮風(なんばんふう)で、左右の脇に4か所の蝶番(ちょうつがい)がある五枚胴仕立てです。胴の正面には、金唐革(きんからかわ)というヨーロッパ製の装飾革を貼り、周囲を緑の羅紗(らしゃ)で包んでいます。この金唐革は、花結びの中に西欧人物の胸像をあらわしており、イタリア製の可能性が指摘されているものです。江戸時代における南蛮胴の流行を物語る貴重な作例といえるでしょう。(学芸員 安永拓世)