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【あらたに奉納された仮面45面】
和歌祭の面掛行列は高下駄を履いて賑やかに練り歩くが、結果的に転倒や仮面の落下という事態も起こる。仮面はその都度補修され、色を塗り直され、徐々に仮面本来の情報を失いつつあるのが現状である。そういった状況の中、古い仮面の保存のためにNPO和歌の浦万葉薪能の会と能面文化協会の協力によって新しい仮面が製作、奉納され、その数は現在45面に達している。
この仮面奉納事業の発案は久保博山さん(能面文化協会会長)。久保さんが昔、能面製作を始められた頃、面掛の仮面を見て感銘を受けたことから、破損が進行しているそれら仮面の保存のためにこの事業を思い立たれた。仮面の材料費のみ一般から募り、能面文化協会の皆さんとともに無償で新しい仮面を製作し、面裏に支援者の名前を刻んで奉納されている。久保さんの仮面への思いを出発点に、和歌祭の未来を見据えて面掛の仮面に多くの人が関わりはじめている。面掛において仮面は、人と人とを結び合わせ、そして過去、現在、未来の時間をつなぐ結節点として機能しているようだ。(学芸員大河内智之)
→企画展「奇跡の仮面、大集合!―紀州東照宮・和歌祭の面掛行列―」
→「奇跡の仮面、大集合!」図録販売中
→和歌山県立博物館ウェブサイト