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スポット展示「所蔵者不明の盗難被害仏像―阿弥陀如来坐像―」(3月17日~4月19日)

スポット展示 所蔵者不明の盗難被害仏像―阿弥陀如来坐像―
令和2年(2020)3月17日(火)~4月19日(日)
 和歌山県では、平成22年(2010)から翌23年春にかけて、山間部の小さな寺院・神社やお堂を中心に、仏像など文化財の盗難被害が集中的に発生しました。この間に被害を受けた文化財は、警察に被害届が出されただけで60件・仏像176点に及ぶという、かつてない規模の連続窃盗事件でした。
 平成23年(2011)4月、窃盗犯が逮捕され、大阪方面で売り払っていた仏像の一部が回収されました。その後所蔵者が判明したものについては順次返却されていきましたが、最終的に43点の文化財が所蔵者不明のまま残されてしまいました。うち4点については、本来の所蔵者を探し出すことができましたが、他はまだ不明のままです。
 今回展示する阿弥陀如来坐像は、台座に「野上下津野」(現・海南市下津野)という地名が記され、近辺で伝来した可能性があります。何かお気づきの情報がありましたら、ぜひ博物館にお知らせ下さい。
所蔵者不明の阿弥陀如来坐像 阿弥陀如来像の頭部 DSC_0686.jpg
(画像クリックで拡大します)
【解説】
 頭部と体部を同木から彫り表した一木造の仏像です。肉髻(にくけい・頭頂の盛り上がった部分)の段差がややあいまいな形状や、張りがあって肥満していない体型などの特徴は、平安時代中ごろ、10世紀末から11世紀にかけて、約千年前の特徴を示しています。
 台座の内側にある銘文から、天明7年(1787)に「野上下津野」出身の真性という僧が台座と光背を仏師栄助に造らせたことがわかります。現在の海南市下津野地域では仏像の盗難被害が確認されておらず、あるいは周辺地域に安置されていた可能性があります。
【台座框部桟墨書銘】
 于時天明七丁未歳     建立者野上下津野出生当寺現住真性
                    施主当村喜兵衛
奉新造立後光座悉地成就為現   当二世安楽也
                    同人息女願主ヲフシ
 十月大良日         仏師南紀安楽川市場村之住栄助作
【会場】
和歌山県立博物館2階学習室スポット展示コーナー

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