新収蔵資料 上山家文書

 今年度、新たに収蔵された資料、上山家文書を紹介します。

 上山家文書は、大日本除虫菊株式会社((株)KINCHO)の創業者・上山家よりご寄贈いただきました。上山勘太郎(英夫)の父英一郎は、世界で初めて渦巻き型の蚊取り線香を考案した人物としてもよく知られていますが、この上山家は、実は湯浅党の末裔と伝え、湯浅氏にかかわる系図や古文書が家に残されていたのです。

 中世文書9点(写を含む)、近世文書7点、近代文書33点、系図類6点、の計55点からなります。

 中世の文書はほとんどが南北朝時代の貴志氏に関する文書です。内容的には『和歌山県史』中世史料二所収の「御前家文書」と同内容のものとなっていますが、その原本があらためて確認できたことの意義は大きいものがあります。

 また系図についても、湯浅氏の系図のなかでも、内容が極めて詳細であることから(明恵や上覚なども登場)、『金屋町誌』等で紹介され、しばしば研究で活用されてはいましたが、今回その原本を確認することができました。

 

 近代文書は、明治~昭和前期にかけて行われた上山家文書調査の様子などを知ることができます。明治時代には内閣修史局重野安繹が調査しており(このときに写されたのが東京大学史料編纂所架蔵の影写本でしょう)、大正・昭和前期においては京都の美術史家・宮内庁書陵部・和歌山県聖蹟調査、和歌山の郷土史家などによって、何度か調査も行われていたようです。そのため、上山家文書や湯浅系図(上山本)の存在は古くから知られていましたが、戦後以降、原本や写真はしばらく紹介されていませんでした。このたび寄贈を受け、写真とともに紹介させていただきました。

 なお、これら上山家文書は、今後、常設展などで紹介する予定です。常設展再開までしばらくお待ちください。

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