和歌山県立博物館、春の特別展「紀伊徳川家 やきもの新時代」も、会期終盤。
なんと、残すところ、あと3日となってしまいました……。
あっという間です。
今日は、会期中に開催されたイベントのご報告をしたいと思います。
◆4月28日(土)
2回目のミュージアムトーク。
(クリックで拡大します。以下同様)
1回目のトークより少し多く、19名の方々がご参加くださいました。
◆5月4日(金)
3回目のミュージアムトーク。
2回目のトークよりもさらに多く!35名の方々がご参加くださいました。
◆5月13日(日)
《国際博物館の日記念事業》として、講演会を開催。
梶山博史(かじやま・ひろふみ)氏(中之島香雪美術館学芸課長)にご講演いただきました。
「百花繚乱・紀州のやきもの―その魅力とルーツ」という題で、
藩窯・御用窯・御庭焼などの定義から丁寧にお話しいただき、
紀州のやきものが中国陶磁から受けた影響や、
土型の移動などについても、詳細に明らかにしてくださいました。
やきものへの愛と熱意が伝わってきて、感動です。
なかでもエキサイティングだったのは、海を渡った紀州のやきもののお話。
アメリカやイギリス、フランスのミュージアムに、
たくさんの偕楽園焼(明治に輸出用として作られたという模倣品を含む?)や南紀男山焼の作品が
収蔵されていて、当地でのやきもののデザインにも影響を与えた可能性があるとのこと。
とても興味深く拝聴しました。
ご来場の皆さまにもお詳しい方が多く、質疑応答も盛り上がりました。
大変意義深い講演会となったのではないかと思います。
梶山先生、ありがとうございました。
◆5月20日(日)
「紀州のやきもの―御庭焼を中心に」というタイトルで20日に予定していた、
中村貞史(なかむら・ただし)氏の講演会。
中村先生は、元・和歌山県立紀伊風土記の丘館長で、
実は、和歌山県立博物館でもお勤めだった、私たち職員にとっての大先輩でもあります。
今回の特別展は、中村先生が2017年に上梓された、
『紀州陶磁器史研究』というご著書に導かれるところが非常に多く、
展覧会の事前調査でも、ずいぶんお世話になりました。
講演会前後に体調を崩され、その日は私が代理でスライドレクチャーをさせていただきました。
あたたかく受け入れてくださったご来場の皆さま、本当にありがとうございました。
中村先生は、きっとまた博物館で、誰よりも詳しく、楽しいお話をお聞かせくださるはずと思っております。
会期中には、残念ながら中村先生のお話を伺えませんが、またの機会を願って!
ぜひ、『紀州陶磁器史研究』(清文堂)もご覧下さい!
◆5月27日(日)
「やきものアイディアブック―南紀男山焼No.1陶工・光川亭仙馬の下絵帖を覗く」と題し、
博物館講座を開催いたしました。
南紀男山焼の代表格であった、光川亭仙馬(こうせんてい【ひかるがわてい】・せんば)は、
陶磁器への絵付けを得意とした陶工です。
仙馬が絵の練習をしたり、アイディアを書き留めたりしたスケッチブックが残っており、
博物館講座ではその魅力的な内容を紹介しました。
江戸時代に流通していた版本の絵を写したり、
仏像やコイン、中国のやきものを写したり。
紀州の実際の風景を描いたものもありました。
反古紙に所狭しと絵を描いていて、
仙馬がいかに熱心に制作に向き合っていたかが伝わってくるようです。
展示中の仙馬の下絵帖はこちら。
6月3日(日)までご覧いただけます!
以上、これまでのイベントのご報告でした。
会期中のイベントも、残すは、最終日6月3日(日)のミュージアムトークのみ。
開始時刻は13:30です。
お近くの皆さまもご遠方の皆さまも、どうぞふるってご参加ください!
(学芸員 袴田舞)