明けましておめでとうございます。
昨年末に引き続き、現在、県立博物館では企画展「和歌の浦の風景」を開催しています。
今回は、初公開の和歌祭の行列を描いた絵巻を紹介します。
和歌祭行列図絵巻 1巻
(わかまつりぎょうれつずえまき)
展示番号24
紙本著色
縦18.9㎝ 横1203.0㎝
江戸時代中期
個人蔵
和歌祭の行列を描いた絵巻です。行列全体の描写から、規模が大幅に縮小された寛文6年(1666)以降の行列の様子を描いたものとわかります。また、巻頭に描かれた御旅所に向かって先頭を歩く根来者(ねごろもの)は、黒い羽織に着流し姿をしています。
寛政8年(1796)、根来者は麻の裃(かみしも)の着用が許されており、この絵巻はそれ以前の行列を描いた可能性が濃いようです。この絵巻が、紀伊藩江戸詰の家臣だった子孫の家に残されていた点も注目されます。
描かれた行列は、次のようになっています。
会所・奉納相撲
→御旅所→
根来者
→御経箱→御榊→棒振→獅子→田楽→御旗鉾→神子→長刀振→赤母衣→白母衣→
連尺3人→太鼓打→餅花踊
→山伏→棒振→
雑賀踊→唐船→鶴の笠鉾
→猿引→面掛→鎧着→町年寄・町奉行→神馬→御鑓→御鉄砲→御弓→御長刀→
楽人→童子→小結
→御幣→御太刀→騎馬・神主→太鼓打→
神輿3基
→騎馬・僧衆→
三つ道具→御押
なお、県立博物館には同じ時期(江戸時代中期)の和歌祭を描いた巻物が、このほかに2巻あります。詳しくは第12回スポット展示「徳川家康をまつる紀州東照宮のお祭り―和歌祭―」をご覧下さい。
今日、3回目のミュージアム・トークを行いました。20人あまりの方にご参加いただきました。
紹介した絵巻のところで解説を行っている様子です。
次回のミュージアム・トークは14日(月・祝)13時30分からです。
(主任学芸員 前田正明)
→和歌山県立博物館ウェブサイト