初段、右允許ス

和歌山県立博物館友の会マイミュージアムギャラリー
第16回展示 「初段、右允許ス」
【出陳者】 阿部 貴也
【展示期間】 平成22年1月23日(土)?2月26日(金)
【出陳資料】 允許状 平成16年(2004)
16回允許状 ←画像クリックで拡大
【資料をめぐる思い出】
「母から「男らしくなれ」と言われ、逆らうこともできず空手を習い始めたのは小学校三年生ごろのことです。家から遠い道場へ自転車で通い、厳しい師範のもと、痛くてつらい練習でしたが、友達と遊べる楽しさで続けられました。それでも一度、どうしても行きたくなくて、親に反抗して部屋に引きこもった事もありました。
 初段の允許状をもらったのはその後のことです。初級からはじめてどんどん昇級し、昇段試験に受かってついに段位をもらいました。一緒に住む祖父が、「おめでとう」と、允許状を額縁に入れてくれたのでした。」
【学芸員の一口メモ】
 武道における段位の制度は近代において整備されたもので、明治時代に嘉納治五郎によって柔道で先行して導入されました。その後、明治28年(1895)に設立された大日本武徳会が柔道・剣道・弓道などの団体を統制するなかで、他の武道においても導入され、段位の下部に、さらに級位も設けられていきました。
 段位制のはじまりは、江戸時代前期、囲碁において本因坊道策(1645?1702)によって確立されたもので、これは力量差を解消するために段に応じて事前に置く碁石の数を調整する意図があり、七段以下、二段差ごとに石を増やしたようです。
 自らの力量を把握するよい指標となる段級位、なんと卓球にも設けられています。
※本展示には、和歌山県立和歌山工業高校のインターンシップ生、阿部貴也君、榎本陸人君の協力を得ました。
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