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博物館の思い出?―青岸渡寺大日如来坐像の複製―

和歌山県立博物館友の会マイミュージアムギャラリー
第8回展示 「博物館の思い出?―青岸渡寺大日如来坐像の複製―」
【出陳者】 和歌山県立博物館
【展示期間】 平成20年10月25日(土)?平成20年12月12日(金)
マイミュージアム8 画像クリックで拡大します。
【資料をめぐる思い出】
 「この仏像は、和歌山県那智勝浦町の那智山青岸渡寺に所蔵される、銅造大日如来坐像の複製です。実物は重要文化財に指定されています。博物館がまだお城の中にあった昭和五五年、熊野信仰の紹介のために作ったものです。
 作り方は、まず実物を薄いアルミ箔で覆い、その上にシリコンを塗ります。これが外型となります。この型をもとにプラスチックで作ったものが茶色の像です。外型から石膏鋳型(白い像)を作り、銅で鋳造した後、表面に金と水銀を混ぜたアマルガムを塗って焼き付ける鍍金を行って完成です。両腕がはずれるのも実物と同じ仕様です。」
【学芸員の一口メモ】
 この大日如来坐像の実物は、実は地面の下から掘り出されたものです。熊野三山の一つ、那智山(那智勝浦町)は、落差一三三メートルの那智滝で有名です。この那智滝は、滝自体が神であり仏であるとして、昔から信仰されてきました。この滝に向かう参道入口に、かつて「枯池」と呼ばれた場所がありました。大正七年、参道の整備のためにこの枯池を掘ったところ、仏像や仏具、経筒などが出土したのです。この大日如来坐像は大量の仏像からなる立体曼荼羅の中尊像で、記録から大治五年(一一三〇)に行誉という僧によって埋納されたものだったのでした。
 博物館の常設展示では、和歌山の歴史を通史とトピックスによって紹介していますが、文化財保存の観点から、全てを実物資料でまかなうことはできません。こういった複製資料は、文化財保存と展示活用の間をつなぐ「架け橋」といえるのです。
→これまでのマイミュージアムギャラリーの展示品
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→ポケットブック「マイミュージアムギャラリーができるまで」(上田早紀氏構成・絵)
→和歌山県立博物館ウェブサイト

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