和歌浦図屛風(館蔵品928)
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【基本情報】
6曲1隻 江戸時代(17世紀) 紙本金地著色 縦106.1㎝ 横274.4㎝
【図版・解説】
和歌山大学紀州経済史文化史研究所編『増補・改訂版 みる・きく・たのしむ 和歌祭』(和歌山大学紀州経済史文化史研究所、2012年)
【内容】
和歌浦(和歌山市)を6曲1隻の画面に描いた名所屛風絵。
中央には西国順礼者を載せた船の往来、
入り海を挟んで右側に大きく天満宮と端に東照宮、中央下に玉津島神社、
左側に紀三井寺を配置するシンメトリックな構図をとっています。
(紀三井寺)
右側の入江をめぐる行列は、和歌祭の練り物かと思われます。
(風流踊り)
画面中央上部には、布引の砂洲が長く描かれ、また蓬莱岩には二羽の鶴があり、
その左横には藤白峠と筆捨松も見えます。
(布引の砂洲・松)
(藤白峠と筆捨松)
玉津島神社の裏では、製塩をする人々の様子も描かれています。
(玉津島神社と製塩)
人物表現は特徴的で、髭を生やした武士なども描かれています。
紀三井寺の塔は、文安6年(1449)の多宝塔が現存しますが、
本図など和歌浦を描いた名所図などでは、三重塔として描かれる場合があります。
(三重塔)
なお図像が近似する和歌浦を描いた屛風として、
・和歌山大学紀州経済史文化史研究所所蔵の「和歌浦図屛風」(紀州研本)
・東京国立博物館所蔵の「厳島和歌浦図屛風」(東博本)
があります。
年代的にみると、紀州研本→県博本→東博本の順に作成されたのではないかと思われます。
【参考文献】
和歌山市立博物館編『和歌浦―その景とうつりかわり―』(2005年)
和歌山大学紀州経済史文化史研究所編『増補・改訂版 みる・きく・たのしむ 和歌祭』(和歌山大学紀州経済史文化史研究所、2012年)
(当館学芸員 坂本亮太)