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新宮御宮御構之図(館蔵品1061)

新宮御宮御構之図(館蔵品1061)
blog館1061 新宮御宮御構之図(クリックすると拡大します)
【基本情報】
嘉永7年(1854)ごろ  紙本墨画 1舗   縦53.6㎝ 横74.0㎝
【内容】
熊野速玉大社(新宮)の境内にある建物の平面図。
多くの付箋がつけられ、嘉永7年に修造された建物の状況や費用が記されています。
それぞれの建物には黄色い貼り紙で、建物の名称と桁行方向、梁間方向の長さが記されています。
下部の付紙には、「本文赤紙附ヶ紙之分/御かなもの外満作ニ相成/有之事」
とあり、第一宮から第四宮と奥御膳三神殿には赤紙が貼られていますが、
これらは飾り金物以外は出来上がっていることを示しています。
また、それぞれの建物にも付け紙があり、修復にかかる費用、内訳が記されています。
本図の付け紙に記された修造にかかる費用は総額で288貫目となっています。
この図は、新宮本社末社図(熊野速玉大社蔵)とは概ね記載内容が一致するものの、
一部(一ノ宮後ろに点線で描かれた「御仮殿」の存在など)異なる情報が記されています。
blog社殿背後
同様に、『新宮市誌』所収の「嘉永年間造営社殿図」とも少し異なります。
blog嘉永年間造営社殿図(『新宮市誌』掲載)
そのため、嘉永頃のある段階の図面と思われますが、
速玉大社において社殿が修造された直後にあたる嘉永7年(改元して安政元年)11月には安政の大地震もあり、
計画変更などもあったことが予想されます。
それぞれの図面がどの段階のものなのかなど、これから細かく分析していく必要があります。
なお本図は、和歌山の郷土史家である吉備慶三郎氏の収集資料と思われます。
(当館学芸員 坂本亮太)

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