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思い出の音は時を超えて

和歌山県立博物館友の会マイミュージアムギャラリー
第13回展示 「思い出の音は時を超えて―母のそろばん―」
【出陳者】 宮前 春奈
【展示期間】 平成21年8月8日(土)?平成21年10月18日(日)
そろばん
【資料をめぐる思い出】
「パチパチパチ…。算盤の独特な音が子どもの頃を思い出します。この算盤は小学校の算数の授業で使っていたものです。もともとは母が40年前に使っていたもので、この少し古びた算盤に歴史を感じ、カッコイイと子どもごころに思いました。
 あまり器用でなかった私は、家で母に算盤を教えてもらっていましたが、その滑らかな算盤捌きに魅了されました。上手になれるかもと思い、カチカチ、じゃららと珠が弾ける音も好きで、家でも遊んでいました。
 算盤と一緒に大切にしていた箱の裏には、母の兄の名前があります。兄から母へ、母から私へ受け継がれたこの算盤。将来子どもができたら譲ろうと思っています。」
【学芸員(の実習生)の一口メモ】
 中国から日本に算盤が伝来したのは、室町末期のことです。伝来した当初はすべてが手作りであり、珠の大きさが不揃いでした。
 江戸時代に入ると、商人用として広く作られるようになり、長崎、博多、雲州(島根県)、播州(兵庫県)、芸州(広島県)、大津が算盤の産地として有名です。展示している「雲州算盤」は、1987年(昭和62年)通商産業省(現、経済産業省)の伝統的工芸品に指定されています。
 意外なことに算盤を使って吉凶を判断する占いがあったり、「算盤をはじく」など算盤にちなんだ慣用句も多く残り、人々の生活に関わりの深い身近な道具だったのです。
 江戸時代の寺子屋では、商業が盛んな地域で広く教えられていました。現在では小学校の算数の時間に教わる算盤ですが、義務化されたのは1935年(昭和10年)になってからです。
■今回のマイミュージアムギャラリーは、平成21年度に和歌山県立博物館が受け入れました博物館実習生(平岡里衣さん、大玉愛子さん、宮前春奈さん、林正さん、磯村さやかさん)の作成協力を得ました。
→これまでのマイミュージアムギャラリーの展示品
→マイミュージアムギャラリーとは
→ポケットブック「マイミュージアムギャラリーができるまで」(上田早紀氏構成・絵)
→和歌山県立博物館ウェブサイト

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