水無瀬三吟百韻(館蔵品848)
(巻首) (巻末)
【刊本】
・『続群書類従』第17輯上
※ただし本資料と群書類従本とは系統が異なります。
長享2年(1488)正月22日に、後鳥羽院の250年忌を偲んで、
水無瀬宮(大阪府島本町)法楽として、同宮御影堂に奉納された百韻連歌で、
「水無瀬三吟何人百韻」ともいいます。
宗祇とその高弟・肖柏、および宗長の三人による三吟で、
宗祇連歌の代表的な作品と位置づけられています。
本資料は、本紙に鳥の子紙を用い、天地の縁には紫の絹地に金泥で草花図をあしらったものとなっています。
本文は、端正な筆遣いで丁寧に書写されています。
ただし、書風より判断すると、江戸時代中期頃の書写かと思われます。
句数は宗祇31句、肖柏34句、宗長35句となっています。
一般的には宗祇34句、肖柏33句、宗長33句のものが知られており(『続群書類従』に載るものなど)、
本資料はそれとは別系統の写本(山岸徳平所蔵本系統)のものと思われます。
なお、宗祇の出生地については、紀伊の有田郡(現在の有田川町)とする説と、近江国東部とする説があります。
(廣木一人『室町の権力と連歌師宗祇―出生から種玉庵結庵まで―』三弥井書店、2015年など参照)
(当館学芸員 坂本亮太)