熊野速玉大社(新宮市)にて、神像のレプリカをつくるワークショップを開催しました!
和歌山県立博物館施設活性化事業実行委員会では、文化財の複製(レプリカ)を通して、文化財の未来を担う世代が、地域の歴史・文化にふれる機会を創出する取組をおこなっています。このたび、熊野速玉大社(新宮市)が所蔵する国宝神像4軀の実物大レプリカの製作に、地域のこどもたちが携わるワークショップを開催しました。
レプリカは3Dスキャナや3Dプリンタを用いて製作します。
① 計測 3Dスキャナで像の形を計測し、データを取ります。
② 修正 取得したデータを修正します。
③ 出力 3Dプリンタで出力します。
④ 磨き やすりがけで表面をなめらかにします。
⑤ 下地塗り 絵具が定着するよう下地を塗ります。
⑥ 彩色 アクリル絵具などで彩色します。
①~③および④の作業に、和歌山県立和歌山工業高等学校産業デザイン科の生徒たちが取り組みました。こうしてレプリカの原型がつくられました。
①計測のようす(県立和歌山工業高等学校産業デザイン科の生徒たち 県立博物館にて)
④磨き作業のようす(県立和歌山工業高等学校産業デザイン科の生徒たち 熊野速玉大社にて)
ワークショップでは、④~⑥の工程で、レプリカ製作に携わっていただきました。みんなの手でつくった文化財の複製を、地域で公開することを目指します。
参加者は、小学生14名(王子ヶ浜小学校、神倉小学校、熊野川小学校、木本小学校(熊野市))、中学生4名(熊野川中学校、緑丘中学校、木本中学校(熊野市))、保護者や一般の方など。40名を越える地域のみなさまにお集まりいただきました。
こどもたちは、学芸員から神像や文化財についての解説を受けた後、講師の平野薫禮さんや和歌山大学ミュージアム・ボランティアのお姉さん達に教えてもらいながら、熱心に製作に取り組みました。後半はお母さん達も参戦。下地をムラなくのばすのが大変お上手でした。
開催にあたっては、新宮市速水盛康教育長をはじめ、新宮市教育委員会や市内小・中学校の先生方、熊野速玉大社敬神婦人会の方々など、地域の教育と文化の継承を支える皆様にご協力をいただきました。みなさまのご尽力に御礼申し上げます。
製作中のレプリカの一部はまもなく完成となります。令和6年(2024)12月22日(日)、熊野速玉大社にて奉納奉告式を開催する予定です。完成したレプリカは、熊野速玉大社境内熊野神宝館に展示されます。
なおこの事業は、おもに、実物大の複製をつくる過程で用いる彩色テスト用の像(高さ約2分の1サイズ)の材料費について、文化庁 Innovate MUSEUM事業(博物館機能強化推進事業)の補助を受けておこなっています。
【開催要項】
イベント名:熊野速玉大社御神像複製彩色ワークショップ
主催:和歌山県立博物館施設活性化事業実行委員会
会場:熊野速玉大社 新宮市新宮1番地
日時:令和6年10月27日(日)13:00~14:30
講師等:ワークショップ講師・彩色監修 平野薫禮(神道芸術家)
解説 島田和(和歌山県立博物館学芸員)
サポートスタッフ 和歌山大学ミュージアム・ボランティア
その他:参加無料