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特別展「高野山麓 祈りのかたち」終了にあたって(担当学芸員よりごあいさつ)

特別展「高野山麓 祈りのかたち」終了にあたって
 特別展「高野山麓 祈りのかたち」をご鑑賞頂きましたお客様、まことにありがとうございました。
 また様々なかたちで、特別展の開催にご協力下さいました皆様に、心よりお礼申し上げます。
 高野山上と高野山麓が密接に結びついてかたち作られた、高野山文化圏における宗教文化の精華は、地域に暮らす人々の不断の努力で、大切に守られてきました。
高野山麓タイトル
 今回の特別展のポスター・チラシ、図録表紙に使用したデザインは、胎蔵(界)曼荼羅の中台八葉院に、山麓の各地域に残された仏像・神像を配したものです。これは、古来から高野山とその周辺が曼荼羅世界に例えられ、特に高野山上の伽藍とそれを囲む峰々が中台八葉院に重ね合わせられてきたことを踏まえ、高野山上と山麓の関わりの深さを象徴的に表してみたものです。
 それぞれの所在地は、概ね高野山上との位置関係を踏まえています(北:三谷薬師堂女神坐像<かつらぎ町三谷>、北西:御所薬師寺菩薩形坐像<かつらぎ町御所>、西:鞆淵八幡神社随身坐像<紀の川市中鞆渕>、北西:法福寺金剛蔵菩薩坐像<有田川町楠本>、北:法福寺阿弥陀如来坐像<有田川町楠本>、北東:大日講菩薩形坐像<紀美野町毛原中>、東:雨錫寺阿弥陀堂阿弥陀如来坐像<有田川町杉野原>、北東:林ケ峰観音寺菩薩形坐像<紀の川市林ケ峰>)。なおベースの曼荼羅図は、興山寺(紀の川市桃山町最上)所蔵の資料です。
 今回の特別展で初めて提示した「高野山文化圏」という概念は、信仰史的には、高野山上の僧と、各村の住民らの重層的な祈りによって織りなされた、曼荼羅世界とも捉えられるようにも、感じます。
 高野山麓の村が守ってきた、魅力あふれる祈りのかたちは、これからも幾世代も、幾世代も、未来へ守り続けていかなければなりません。
 和歌山県立博物館では調査研究、展示、普及活動を通じて、こうした高野山麓の文化財の魅力と重要性をお伝えていく役目をこれからも果たし、今後も守り伝えていくためのお手伝いを、継続していきたいと思います。
 今後とも、和歌山県立博物館の活動に、ご理解、ご支援下さいますよう、心よりお願い申し上げます。
(学芸員 大河内智之)
高野山麓展示風景1
高野山麓展示風景2

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