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移動する仏像展日誌1(2月23日)

 和歌山県立博物館では、平成22年度春期の特別展といたしまして、「移動する仏像―有田川町の重要文化財を中心に―」(会期:4月24日(土)?6月6日(日))を開催します。「仏像が移動する!?」と、意外に思われるでしょうか。信仰対象として大切に守られてきた仏像の中には、さまざまな要因でもとの安置場所から離れ、別の寺院へと移動した歴史を持つものがあります。この展覧会は、そういった仏像の移動の実態と、そこから見える歴史について考える日本で初めての展覧会です。
 展覧会の開催に向けてただいま鋭意準備中です。「博物館ニュース」では、随時、その途中経過をお知らせしながら、博物館の業務がどんなものなのか、お伝えして参りたいと思います。
□■資料の輸送■□
 2月23日(火)。本日は、特別展の主要な借用先の一つである、有田川町の吉祥寺から、重要文化財6件を含む仏像などの資料の借用作業を行いました。まさしく、「移動する仏像」です。事前に資料調査を行って、状態を点検するとともに、輸送する仏像の本体や台座、光背などの寸法を細かく計っておき、美術輸送を専門とする輸送業者を入札で選んで、専用のケースを作成し、収蔵庫の中で万に一つも破損の無いように梱包して、専用車両で輸送しました。輸送するまでの準備だけで、いったいどれだけの作業をしてきたことやらという感じですが、そのようにして周到に準備したつもりでも、無事に輸送を完了するまで心がやすまりません。資料の安全な輸送が、展覧会開催の上で最も気をつかうところですし、その安全を確保することこそが学芸員の腕の見せどころです。借用・返却を合わせると、この展覧会ではまだあと3回の輸送を予定しています。借用した資料を全て返し終わる瞬間まで、学芸員の両肩には、ずっしりと重い責任がのしかかります。(学芸員大河内智之)
→移動する仏像展日誌バックナンバー
→和歌山県立博物館ウェブサイト
 

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