和歌山県立博物館マイミュージアムギャラリー
第46回展示 「一筆にかける ―蘭亭序に臨む―」
【出 陳 者】 蓬莱 夏野
【展示期間】 平成30年8月11日(土)~9月9日(日)
【出陳資料】 蘭亭序臨書 現代(21世紀)
【資料をめぐる思い出】
「この掛け軸は、王羲之(おうぎし)の蘭亭序(らんていじょ)を臨書したもので、第21回国際高校生選抜書展に入選しました。高校1年生の秋に大きな作品に初挑戦し、自分の字の癖を消して手本の書に寄せることに苦労しました。大阪市立美術館の展示会では多くの優秀な作品を目にし気後れしましたが、自分の作品を見つけたときは見劣りしていないことに安堵し感動しました。また、書道経験者の母と妹にも喜んでもらい誇らしく思いました。
私は、小学3年生から書道を続けています。大好きな書道の魅力を、より多くの人に伝えるための活動にも力を入れています。一筆にかける思いを感じてみませんか。」
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【学芸員(実習生)の一口メモ】
永和9年(353)に王羲之(おうぎし)が蘭亭にて曲水の宴を催したときに成った詩集の序文です。宴では、せせらぎに浮かべた杯が自分の前に流れ着くまでに詩を詠み、詩ができなければ大きな杯でお酒を飲みました。
唐の太宗皇帝が蘭亭序を大変気に入り、精密に写した複製を作らせ、本物は墓に副葬させました。そのため、実物は現存しませんが、複製されたものは多数の中国の書家が臨書しています。その一つが下の写真で、唐代の書家、欧陽詢(おうようじゅん)の手になるものです。
同じ文字でも擦れ具合や形など書き分けられている部分が多く見られます。本作品でも模しているのでぜひ見つけてください。
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王羲之 蘭亭序(呉丙本)部分 東京国立博物館蔵
※今回の展示は、平成30年度に和歌山県立博物館が受け入れた博物館実習生5名が作成しました。