トップページ >博物館ニュース >2月25日印南町で現地学習会が開催されました。

2月25日印南町で現地学習会が開催されました。

 2月25日(土)13時30分から印南町公民館で、現地学習会「歴史から学ぶ防災2016-命と文化遺産とを守る-」が開催され、75人の参加がありました。
IMG_4342(研修会)
 会場入り口では、印南町立印南中学校阪本尚生さんが指導した津波研究班の研究成果をポスター展示していただきました。
R0014057(ポスター展示) R0014061(ポスター展示)
 司会は、和歌山大学紀州経済史文化史研究所特任准教授の吉村さんにお願いしました。
IMG_4363(司会吉村さん)
 まず、主催者を代表して、当館の苗代副館長が開会の挨拶を行いました。
IMG_4336(苗代副館長)
 次に、来賓として、印南町長の日裏勝己様からご祝辞をいただきました。
IMG_4352(日裏町長)
 続いて、6人の方々に報告をおこなっていただきました。
 トップバッターは、印南町立印南中学校津波研究班の現役3年生の辻浦才暉さんと卒業生の和歌山県立日高高等学校2年生濵本尚実さんです。2人による「昭和南海地震の聞き取り調査から」の報告では、まず前半で濵本さんから、これまで津波研究班の活動や印南の災害の歴史などをお話ししていただき、後半は辻浦さんから昨年度と今年度に津波研究班が取り組んだ昭和南海地震体験者11人からの聞き取り調査の方法や内容、調査結果の分析によって明らかになったことをお話しいただきました。
IMG_4378(濵本さんと辻浦さん)
 印南町文化協会会長(語り部)の坂下緋美さんの「紀州印南浦今昔 そして,宝永大地震と角屋甚太郎」の報告では、まず印南というのは和歌山県のなかでどのような位置にあるのかをお話ししていただきました。そのうえで、江戸時代の初めには漁業の先進地であった印南が1707年の宝永地震で壊滅的な被害を受けたが、その後も印南浦の漁民が活躍している様子をお話しいただきました。最後に、昭和南海地震での自らの被災経験をお話しいただき、その後の印南浦の様子を写真や絵で紹介いただきました。
IMG_4398(坂下さん)
 和歌山県立博物館主任学芸員前田正明の「宝永地震津波の記憶を伝える」の報告では、有史以来の最大級といわれる宝永地震津波を取りあげ、印南浦に残る資料から、宝永地震津波の記憶がどのように残され、それがどのように伝えられたのか。さらに147年後に起こる安政地震津波が起こった際に、その記憶が生かされていたのかをお話ししました。
IMG_4415(前田)
 歴史資料保全ネット・わかやま会員砂川佳子さんの「印南浦を襲った幕末の災害」の報告では、印南町印南に残された、安政地震津波の記憶を伝える「かめや板壁書置」の記されている内容などについて、詳しく説明いただきました。そのうえで、この震災遺構(遺産)ともいえる板壁が、その後印南町の人たちによって大切に残されてきたことを紹介していただきました。
IMG_4425(砂川さん)
 姫路大学人文学・人権教育研究所准教授松下正和さんの「災害資料を活かした自主防災活動について」の報告では、「災害の記憶」を伝える津波記念碑の全国調査で明らかになった大津浪記念碑(岩手県宮古市)、大地震両川口津浪記石碑(大阪市)、外所地震供養碑(宮崎市)などを紹介していただき、さらに県内に残されている災害資料が防災活動に生かされている事例なども紹介していただきました。
IMG_4435(松下さん)
 最後に、ご後援をしていただきました印南町教育委員会の岡本徹士教育長様から、閉会の挨拶を兼ねて、今回の学習会の感想をお話しいただきました。
IMG_4440(岡本教育長)
 閉会後、希望者を募って行われたワークショップには24人の方にお集まりいただきました。松下正和さんの司会のもと、まず今回の学習会の感想をお聞きしました。そのあと、ハザードマップを見ながら居住地での防災の取り組みなどについて、意見交換をしました。
IMG_4501(ワークショップ)
                  
 印南町、印南町教育委員会のご協力も得て、盛況のうち終わることができました。心からお礼申しあげます。
(主任学芸員 前田正明)
災害記念碑一覧
和歌山県立博物館ウェブサイト

ツイートボタン
いいねボタン