本日、5月5日は、特別展「華麗なる紀州の装い」の2回目のミュージアムトーク(展示解説)がおこなわれました。
ゴールデンウィークの最終日で、お天気も良く、30名近くの方々にご参加いただきました。
2回目のミュージアムトークなので、少しは話す内容にも慣れてきたのですが、思いのほか多くの方々にご参加いただいたためか、担当者も熱中して話してしまったようで、ちょっと時間を延長して、13:30~14:40ごろまでのトークとなってしまいました。
トークの風景はこんな感じです。
みなさま、お忙しい中、長時間お付き合いくださり、本当に、ありがとうございました。
トークでは、
先日、5月1日の講演会のときに山川曉先生からご教示いただいたことですが、
「赤地唐草文金糸入縫取織七条袈裟(あかじからくさもんきんしいりぬいとりおりしちじょうけさ)」(報恩寺蔵)
の赤地の裂(きれ)が、解説に書いたような日本や中国や朝鮮製ではなく、西洋製の可能性もあるという話などを少しさせていただきました。
とりわけ重要なのは、使われている金糸や糸が、中国や日本で一般的に用いられる箔糸(紙に金箔を貼って細くきったもの)ではなく、紙ではないものに金箔を貼り、それをコイル状に糸に巻き付けているとみられる点です。
また、強い撚(よ)りをかけた糸も、西洋の染織品にしばしば用いられる糸とのことでした。
今回は、展示や展覧会の図録に、上のような組織の拡大写真を掲載したので、文様以外の部分からも、染織のくわしい情報を得ることができます。
こうした写真を撮影するのは、大変でしたし、本当は、拡大率のわかるスケール(ものさし)などの画面に写しこんだ方がよいのですが、不勉強で、今回はそうした点に、じゅうぶん配慮することができませんでした。
申し訳ございません。
とはいえ、こうした組織拡大図も、少しは役立つのではないかと思っています。
展示や図録でご活用くださりませ。
トークに参加してくださっていた方々の中には、染織にくわしい方もいらっしゃったので、色々なご意見をうかがうことができ、こちらも大変勉強になりました。ありがとうございます。
トークをすると、毎回、担当者のひとりよがりな解説になっていないか、とても心配なのですが、今回のトークが終わってからは、色々な方から「わかりやすかった」とか「後期のトークもまた来たい」という声をかけていただきました。
じゅうぶんなお話しができているのかどうかは心もとないのですが、そう言っていただけるだけでも、ありがたいことです。またのご参加をお待ちしております。
なお、今後のトークの予定は、
5月7日(土)、5月15日(日)、6月4日(土)です。
時間は、いずれも13:30~14:30で、
会場は、博物館1階の企画展示室の中です。
入館券をお求めのうえ、企画展示室入口にお集まりください。
このうち、後期展示のミュージアムトークは6月4日の1回のみです。
後期展示では、現在、展示している資料の半分近くが、展示替えされます。
前期展示をご覧になった方でも、また、新しい発見ができるのではないかと思います。
ぜひ、もう一度、足をお運びくださりませ。(学芸員 安永拓世)
→特別展 華麗なる紀州の装い
→和歌山県立博物館ウェブサイト