13日(日)、歴史資料ネットワーク副代表・近大姫路大学教育学部講師の松下正和先生から、「水損・汚損資料の応急処置~「史料の救命士」ボランティアへのお誘い~」というテーマでご講演とワークショップを行っていただきました。38人の参加がありました。
講演はこんな感じです。
講演では、1995年阪神大震災をきっかけに発足した歴史資料ネットワークが、2011年の東日本大震災まで、どのような活動をされてきたのか、活動の概要をお話いただきました。そのなかで、歴史資料の被害状況、そのレスキューの方法やその意義について、画像を交えながらお話いただきました。松下先生の巧みな話術もあって、参加者のみなさんも食い入るように聞かれていました。
講演のあと、水損・汚損資料の応急処置をどのようにすればいいか。まず、松下先生の実演をみせていただいたうえで、参加者の皆さんに体験していただきました。
最初に水損資料をいかにして乾かしていくかという体験です。身近にある新聞紙やキッチンタオルなどを使って、根気強く行うことが大切なようです。どれだけ水分が取れたかを実感してもらうために、デジタル秤を使うなど楽しみながら体験できる工夫もされていました。
次に、汚損資料をいかにして綺麗にするかという実演です。身近にある発砲スチールや水切りネット、刷毛などを使って、汚れをとる方法を紹介していただきました。
応急処置の基本は、「いつでも、どこでも、だれにでも」できる方法で行うことだそうです。講師の松下先生、参加者のみなさん、本当にありがとうございました。
参加いただいた方々には、松下先生からいただいた「緊急対応マニュアルシート 捨てないで! 水に濡れた文書は乾燥できます。」(B5判の下敷きのようになっています)をお配りしました。
シートが、10枚残っています。このニュースを見られて来館していただいた方、先着10人の方にプレゼントいたします。ご来館をお待ちしています。
この日は、教育ラジオ放送「定期便 教育の窓」の収録が行われました。放送は、5月26日(土)8時45分~9時(和歌山放送)です。
5月20日(日)には、下記の講演会を行います。
13時30分~15時 近代美術館2階ホール(博物館となり)
「防災教育と地域資料の活用~「高濤記(こうとうき)を詠む~」
馬場一博氏(海南市立北野上小学校校長)
事前の申し込みの必要はありません。ご興味のある方、ぜひお越しください。また、講演会終了後に、ミュージアム・トークも行います。
(主任学芸員 前田正明)
→和歌山県立博物館ウェブサイト