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「災害の記憶」を伝える資料1

和歌山県立博物館では、和歌山県教育庁文化遺産課、和歌山県立文書館、県内外の歴史研究者と共同で、「災害の記憶」の発掘と文化財の所在確認を行っています。ここでは、調査で確認した「災害の記憶」を伝える資料のうち、企画展「描かれた紀州」で出陳している資料を紹介します。
松下家過去帖 一帖 個人蔵  (展示番号25)
 もと浜ノ瀬浦に居住していた松下家に伝わる日付入りの過去帖です。文化元年(1804)に常福寺第六世の好賢が記した前書があります。この過去帖の裏面には、嘉永7年(1854)の伊賀上野地震、安政東海地震、安政南海地震とそれに伴う津波、昭和28年(1953)の七・一八水害に関する被害の情報が記されています。11月5日の安政南海地震津波に関しては、美浜町浜ノ瀬に建てられている「津浪之紀事」碑に記された内容との共通性がみられます。「此時、吉左衛門大坂にてたすかり」と記された当主吉左衛門(喜太夫、?~1894)は、漁師稼ぎをしていました。
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嘉永七年
寅十一月
四日大地しん
五日津なみ
浜之瀬の人ことこと(く)
吉原之松原にて
たすかるなり
寅のとしの六月に
大地しん十一月まて
ゆらぬ月なし
つなみあるむかわり
すきてまてちりちり
たるなり
かならずつなみ
にわふねにのる事
なし
つなみのとき川船に
のるべからづ
此時吉左衛門大坂にてたすかり
昭和二十八年七月十八日
大水害起る和歌山県一帯
御坊町は湖の如くなる
ハマノセ川岸の民家二十数軒
土地共に押流される
此の時の死亡者及行方不明
三千余
(主任学芸員 前田正明)
→描かれた紀州
→和歌山県立博物館ウェブサイト
      

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