
令和5(2023)年7月1日(土)~8月27日(日)
武器として作られた日本独特の刀剣・日本刀は、一方でその美しさを鑑賞する美術品としても愛好されてきました。きのくに−和歌山県でも、今から700年前の室町時代ごろから、日本刀を作ることが行われるようになり、江戸時代には城下町・和歌山を中心に、文珠(もんじゅ)鍛冶(かじ)と石堂(いしどう)鍛冶といった刀工(とうこう)の流派が、多くの作品を制作しています。
ところで、日本がアジア・太平洋戦争に敗れた際、全国に残されていた刀剣類は武器として連合国占領軍に没収され、美術的な価値のあるものは東京都北区赤羽(あかばね)にあった米軍兵器補給廠(ほきゅうしょう)に集められました。のちに日本に返還され、東京国立博物館が管理することになったおよそ5,600本の刀剣類は「赤羽刀(あかばねとう)」とよばれます。これらは平成7年(1995)に全国の博物館へ譲与されることになり、当館では平成11年(1999)に、文珠鍛冶と石堂鍛冶の作品を中心に、43本の刀剣を受け入れました。
このたびの企画展では、当館所蔵の「赤羽刀」全43点を初めて一堂に展示するとともに、これらの資料を活用して、日本刀の基礎的な知識や、鑑賞のみどころなどについても、子ども向けの解説計画により紹介します。文珠鍛冶と石堂鍛冶の2つの流派に代表される、きのくにゆかりのかたなのすばらしさを、学んでいただく機会にしたいと思います。
【展示構成】Ⅰ 文珠(もんじゅ)鍛冶(かじ)−殿(との)さまのおかかえ
Ⅱ 石堂(いしどう)鍛冶(かじ)−紀州(きしゅう)から全国(ぜんこく)へ
Ⅲ かたなの手入(てい)れと研(と)ぎなおし
みどころ
【赤羽刀(あかばねとう)について】
日本がアジア・太平洋戦争に敗れたのち、日本刀は武器として、個人が所蔵していたものを中心に、連合国占領軍に没収されました。その大半が、海洋投棄などにより処分されましたが、一部の美術的価値がある作品が、廃棄をまぬがれて東京都北区赤羽にあった米第8軍兵器補給廠(ほきゅうしょう)に集められます。その後、日本に返還され、所有者が判明したもの以外は、昭和22年(1947)に東京国立博物館へ移されて、保管されることになりました。この約5,600本の日本刀(接収刀剣類(せっしゅうとうけんるい))は、最初の集積地にちなんで「赤羽刀」とよばれます。平成7年(1995)に「接収刀剣類の処理に関する法律」が成立したことにより、元の所有者へ返還したものを除く4,569本が国と地方の公立博物館で活用することになりました。地方に譲与されることになった3,209本のうち、和歌山県立博物館では平成11年(1999)に43本の日本刀の譲与を受けました。これらは、ほとんどが江戸時代にきのくに−和歌山県で作刀していた文珠(もんじゅ)鍛冶(かじ)と石堂(いしどう)鍛冶(かじ)の作品です。その後、平成17年(2005)までに、作業が困難な8本を除く35本が、県内の研師(とぎし)の方などに依頼して研ぎ直しが行われ、かつての輝きを取り戻しています。

(1)文珠(もんじゅ)鍛冶(かじ)のかたな
文珠鍛冶の代表的な刀工である初代・文珠重国(しげくに)は、大和国(やまとのくに)(奈良県)の出身で、隠居後に駿府城(すんぷじょう)(静岡市)にいた徳川家康に仕え、家康没後、紀伊国に転封された徳川頼宣(よりのぶ)に仕えて、和歌山城下でお抱(かか)え刀工として活動しました。江戸時代を通じて、11代にわたり作刀していたことが知られます。初代・重国の作品は、バランスのよい美しい反(そ)り姿で、大和の伝統的な作風である直線的な直刃(すぐは)のものが中心です。

(2)石堂(いしどう)鍛冶(かじ)のかたな
紀州の石堂鍛冶は、近江国(おうみのくに)蒲生郡(がもうぐん)(滋賀県東近江市)の石堂寺(いしどうじ)の門前において作刀していた流派の一部が紀州へ移り、徳川頼宣に仕えた刀工集団です。17世紀の中ごろまで紀州で活動し、その後、江戸・大坂などへ移り、各地で分かれて作刀を続けたようです。紀州の石堂鍛冶の作品は、反(そ)りが浅く、四角い波の刃文(はもん)(箱乱(はこみだ)れ)を幅広く焼いているのが特徴です。

(3)江戸の人気刀工の作品
大和守安定(やまとのかみやすさだ)は、石堂鍛冶の刀工です。一時期和歌山でも制作していましたが、のちに江戸に移りました。作品は「業物(わざもの)」(良く切れる刀)として有名で、江戸の武士に人気がありました。
展覧会情報
会場 | 和歌山県立博物館 1階 企画展示室 |
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会期 | 令和5(2023)年7月1日(土)~8月27日(日) |
開館時間 | 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで) |
休館日 | 月曜日(7月17日(月・祝)は開館、18日(火)は休館) |
観覧料 | 一般280円(230円)・大学生170円(140円) ※( )内は20名以上の団体料金 ※高校生以下・65歳以上の高齢者・障害者の方、および県内に在学中の外国人留学生(外国人就学生を含む)は無料 ※毎月第1日曜日は無料(会期中では、7月2日・8月6日) |
主催 | 和歌山県立博物館 |
関連事業
ミュージアムトーク(学芸員による展示解説)
日時 7月8日(土)・16日(日)・22日(土)・30日(日)
8月5日(土)・13日(日)・19日(土)・27日(日)
いずれも、13:30〜14:30
※入館の手続きをお済ませのうえ、企画展示室にお集まりください(事前申し込み不要)
「ホンモノの文化財にさわってみよう!」
日時 8月5日(土) 10:00~12:00
場所 エントランスホール
事前申込不要・参加費無料
同時開催
常設展「きのくにの歩み―人々の生活と文化―」
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