
2024年4月27日(土)〜6月2日(日)
江戸時代の初め、元和7年(1621)に紀伊徳川家初代藩主・頼宣(よりのぶ)(1602〜71)が和歌浦に建立した紀州東照宮には、近代の当主を含め、大半の紀伊徳川家の歴代藩主が、名だたる名刀を必ず奉納しています。
このたびの特別展では、紀伊徳川家の歴代藩主・当主らが紀州東照宮へ奉納した刀剣すべてを、新たな知見により再調査し、その成果に基づいて、華麗な糸巻太刀拵(いとまきたちごしらえ)や太刀金具類、刀剣類の管理・保存に関する江戸時代〜近代の古文書・古記録などとともに、そろって展示します。
[展示資料:38件140点(重要文化財13件13点・和歌山県指定文化財13件13点を含む)]
(全件 紀州東照宮 所蔵)
展示のみどころ
紀伊徳川家の初代・頼宣(よりのぶ)から16代・頼貞まで(3か月しか在任しなかった4代藩主・頼職(よりもと)と、4歳で13代藩主となった慶福(よしとみ)(のちの14代将軍・家茂(いえもち))をのぞく)、歴代藩主・当主が紀州東照宮に奉納した太刀・刀を、華麗な糸巻太刀拵とともに、すべて展示します。平安時代後期(12世紀)から江戸時代後期(19世紀)にかけての名品を鑑賞できます。紀州東照宮の奉納刀すべてを展示した特別展は、平成元年(1989)以来、35年ぶりです。

(1)最古期の太刀「安綱(やすつな)」
重要文化財 太刀(たち) 銘(めい) 安綱(やすつな)(展示番号5)
安綱は、伯耆国(ほうきのくに)(現在の鳥取県)で平安時代後期(12世紀)に活動した刀工(とうこう)です。反(そ)りがついて、鎬(しのぎ)に筋が入った日本刀の基本的なスタイルが成立する時期に活動していました。こうした最も古い時期の太刀を、初代藩主・頼宣が入手し、家康50回(かい)忌(き)の年、寛文5年(1665)の和歌祭(わかまつり)の際に、紀州東照宮に奉納したことが、紀伊藩家老の三浦家に伝わった記録によって明らかになっています。
切り抜き-scaled-e1713575983439-1400x190.jpg)
(2)8代将軍吉宗(よしむね)が奉納した太刀「国時(くにとき)」
〔重要文化財 太刀 銘(めい) 国時(展示番号10)
5代藩主から8代将軍になった吉宗は、祖父・頼宣50回忌の年で、父の2代藩主・光貞(みつさだ)17回忌の年でもあった享保6年(1721)に、紀州東照宮をはじめ、紀伊国内の9つの神社へ古い太刀を1振ずつ奉納しています。紀州東照宮へ奉納された太刀は、鎌倉時代(14世紀)に肥後国(ひごのくに)(現在の熊本県)で活動していた延寿派(えんじゅは)の刀工・国時によるもので、明るく冴(さ)えた直刃(すぐは)(直線的な刃)が美しい作品です。

(兜金(かぶとがね))
〔信国太刀金具〕(展示番号31(1)〕

(足金物(あしかなもの))

(鐔(つば)と大切羽(おおせっぱ))
(3)盗難被害にあった太刀の金具
明治15年(1882)8月、紀州東照宮の神庫が盗難にあい、4振の太刀が盗まれました。犯人は太刀の華麗な金具が目あてだったらしく、糸巻太刀拵(いとまきたちごしらえ)をこわして金具をはずそうとしたようです。この写真は、2代藩主・光貞が奉納した太刀「信国(のぶくに)」(展示番号6)の糸巻太刀拵の金具と思われます。黒地に金であらわした三(み)つ葵紋(あおいもん)の意匠は、葉が小さく柄(え)が長い古い様式を示しているのが特徴的です。
展覧会情報
会場 | 和歌山県立博物館 企画展示室 |
---|---|
会期 | 2024年4月27日(土)〜6月2日(日) |
開館時間 | 9:30〜17:00(入館は16:30まで) |
休館日 | 月曜日(ただし4月29日(月・祝)・5月6日(月・振替休日)は開館、4月30日(火)・5月7日(火)は休館) |
観覧料 | 一般:520円(420円)、大学生:310円(250円) ※( )内は20人以上の団体料金。 ※高校生以下・65歳以上・障害者手帳の交付を受けている方は無料。 ※和歌山県内に在学中の外国人留学生は無料。 ※毎月第1日曜日は無料日(会期中では5月5日・6月2日) |
主催 | 和歌山県立博物館 |
協力 | 和歌祭保存会 |
関連事業
博物館講座
いずれも、13:30~15:00 / 会場:和歌山県立博物館2階学習室
講師 竹中康彦(和歌山県立博物館学芸員)
※申込不要・参加費無料
①5月6日(月・祝) | 「紀伊藩歴代藩主と紀州東照宮の奉納刀」 |
---|---|
ミュージアムトーク(展示解説)
4月28日(日)・5月4日(土・祝)・5月12日(日)・5月18日(土)・6月1日(土)
いずれも、13:30から /会場:1階 企画展示室
※入館手続きをお済ませのうえ、展示室入り口にお集まり下さい。(事前申し込み不要)
「たんけん近代美術館・博物館」
(両館バックヤードツアー、「国際博物館の日」記念事業)
5月18日(土) 10:00〜12:00 先着20名(県立博物館への予約申込が必要)
詳細はこちら★
