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スポット展示「さるにまつわる紀州の絵画」(2階 文化財情報コーナー)

 県立博物館2階の文化財情報コーナーで、
「さるにまつわる紀州の絵画」と題したスポット展示を行っています。
2016年の干支・申(猿)を描いた絵画1点を展示中です。
今回展示しているのは、100匹を超える猿が描かれた
「群猿図」(たくさんの猿が群れる様子を表した絵)です。
この絵を描いた笹川遊泉顕信は、江戸時代後期、
紀伊藩十代藩主である徳川治宝の時代に、
藩のお抱え絵師として活躍しました。
優れた筆さばきと、愛らしい猿の様子をぜひご覧ください。
なお、本作品は、今回が初公開となります。
【タイトル】スポット展示「さるにまつわる紀州の絵画」
【展示資料】笹川遊泉顕信筆「群猿図」1幅 (個人蔵)
【 会 期 】平成28年(2016)1月23日(土)〜3月6日(日)
【 休館日 】月曜日
【 会 場 】和歌山県立博物館 2階 文化財情報コーナー
【開館時間】午前9時30分~午後5時(入館は閉館の30分前まで)
【 料 金 】無料(常設展・企画展は入館手続きが必要です)
★笹川遊泉顕信(初代遊泉、1767~1820)って誰?
 江戸時代、紀伊藩のお抱え絵師となった人物です。
文化10年(1813)、十代藩主の徳川治宝(1771~1852)に登用され、
年々金5両をもらいました。
文政2年(1819)に「御絵師」で5人扶持となり、
文政3年(1820)に病気で亡くなりました。
 養子に、同じくお抱え絵師となった笹川遊泉由信(1788~?、2代遊泉)がいますが、
初代・2代とも現存作品は多くありません。
なかでも、どちらの「遊泉」の作品か判明するものが少ないことから、
「顕信」のサインがあり、初代遊泉顕信のものと判明する本図は、貴重な作例です。
★どんな絵?
【全体】
群猿図 笹川遊泉顕信筆 本紙全景 1MB
(クリックすると拡大します。)
 淡い墨を主に用い、筆数を減らした無駄のない描写で、
群れ集う猿の姿を生き生きと表します。
猿の顔には淡く代赭を施して赤味を出し、
目鼻は濃い墨で細かな表情の違いを描き分けています。
【部分1】毛づくろい中の二匹。
毛づくろい(鮮やかさマイナス)
【部分2】何かに驚いているような様子。
驚き猿アップ(鮮やかさマイナス40)
【部分3】赤ちゃん猿を抱っこする様子。
子ども抱く猿(鮮やかさマイナス50)
ほかにも様々な猿たちの姿がご覧いただけます。
たった1点の展示ですが、100匹超のお猿さんの様々なポーズや表情は、見応えがあります。
同時開催の企画展「紀州を旅する」、
コーナー展示「先人たちが残してくれた『災害の記憶』」
(いずれも1月23日~3月6日)や、
マイミュージアムギャラリーも、あわせてご観覧ください!

(学芸員 袴田)

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