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スポット展示「牛玉宝印のウラ」

スポット展示 牛玉宝印のウラ
会  期 平成24年6月22日(金)〜8月31日(土)
会  場 和歌山県立博物館2階スポット展示コーナー
開館時間 午前9時30分~午後5時
入 館 料 無料(ただし、常設展示室・企画展示室へ入室される場合は入館料が必要)
 県立博物館2階で開催しているスポット展示では、平成24年度は「文化財のウラ、見ませんか?」をテーマとしています。今回の展示は、牛玉宝印(ごおうほういん)の裏側に注目します。
 もともと魔除けのお札として、熊野三山などの霊場でつくられた「牛玉宝印」は、とても強い霊力を持っていると考えられていました。そのため、神仏への誓いをあらわす起請文という文章を書く時には、牛玉宝印が刷り出された紙の裏を使うことがありました。もし、その誓いを破れば、文章の中に記された神仏の罰を受ける(「ばち」が当たる)というわけです。このような牛玉宝印の使い方は、鎌倉時代ごろに始まり、江戸時代にも行われていました。
 今回ご紹介するのは、那智山で江戸時代につくられた牛玉宝印です。カラスの形を組み合わせた文字で、「那智瀧宝印」とあらわしています。その裏を用いて、享保14年(1729)の起請文が記されている牛玉宝印を中心に展示します。
牛玉宝印って何?
 「牛玉宝印」とは、全国のさまざまな神社や寺院で作られ、人々に配られた魔除けのお札の一つです。多くは、木版刷りで大量に印刷されたもので、家の戸口に貼ったり、木の枝にはさんで、田に引く水の取り入れ口に立てたりしました。また、いろいろな約束を誓う起請文という文書を作る時にも、もし約束を破れば、神や仏の罰を受けるということを、このお札のウラに記しました。
 なお牛玉とは、牛の内臓にできた胆石や胃石のことで、高級な薬として用いられたことから、一切の病気を取り除く仏教の行事に取り入れられ、それによって魔除けの意味も持つようになったと考えられています。
 熊野三山の牛玉宝印は、鎌倉時代ごろから作られていたようですが、熊野権現のおつかいのカラスの姿(烏点)と不思議な玉(宝珠)を組み合わせて文字をあらわす独特の形になったのは、戦国時代ごろのことでした。
牛玉宝印オモテ(館蔵品) 牛玉宝印裏(館蔵品)
牛玉宝印「那智滝宝印」 享保14年(1729) 和歌山県立博物館蔵

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