スポット展示
盗難被害仏像の所蔵者判明!
〔6月14日(土)~7月13日(日)〕
和歌山県では平成22年(2010)から翌年春にかけて、連続60件にも及ぶ、全国的にも類例のない大規模な文化財窃盗事件が発生しました。平成23年(2011)4月に窃盗犯が逮捕され、手元に残っていた盗難品が押収されたほか、大阪方面で売り払っていた文化財の一部が回収されましたが、これらのうち43点については、所蔵者不明のまま警察・検察における保管期限が過ぎたため、平成25年(2013)2月から和歌山県立博物館が引き継いで、保管しています。
このたび、この県立博物館が保管する盗難被害文化財のうち阿弥陀三尊像3体について、博物館が平成16年9月に調査した紀の川市桃山町・安楽寺の仏像と、形や特徴が一致することが分かりました。安楽寺では、平成22年11月23日~27日の間に盗難被害を受け、警察に被害届が提出されていました。
盗難被害を受けた文化財の本来の所蔵者が判明したことを受け、返却に先立ち、県立博物館で展示公開します。残り40点の文化財につきましても、県立博物館のホームページに詳細な情報を掲示しておりますので、所蔵者の発見につながる情報のご提供を、お待ちいたしております。
なお、スポット展示での公開に引き続き、夏休み企画展「文化財に親しもう!」(会期:7月19日〔土〕~8月31日〔日〕)でも、展示公開いたします。
1、主 催 和歌山県立博物館
2、会 期 平成26年6月14日(土)~7月13日(日)
3、会 場 和歌山県立博物館 常設展示室・近現代コーナー (和歌山市吹上1-4-14)
4、開館時間 午前9時30分~午後5時
5、入 館 料 一般280円(220円)・大学生170円(140円) ※( )内は20名以上の団体料金
高校生以下、65歳以上、障害者、県内在学中の外国人留学生は無料
6、出陳資料 阿弥陀三尊像(安楽寺所蔵)
・所蔵者が判明した阿弥陀三尊像について
このたび所蔵者が判明した阿弥陀三尊像(江戸時代)は、平成16年9月7日に、県立博物館が桃山町教育委員会(当時)と合同で行った文化財調査の際に、写真撮影および寸法の計測を行っていました。このデータと照合することで、元の所在地を同定することができました。このように、地域に伝わる文化財の調査は、それぞれの資料の重要性を把握することはもちろん、災害や盗難被害の際にはよりどころとなる、貴重な基礎データの蓄積の機会でもあるのです。
左:県立博物館で保管中の阿弥陀三尊像(画像クリックで拡大)
右:紀の川市桃山町・安楽寺の阿弥陀三尊像(平成16年9月7日調査時撮影)(画像クリックで拡大)
県立博物館で保管中の所蔵者不明の盗難被害文化財については、「和歌山県立博物館が保管する所蔵者不明の盗難被害文化財について」をご確認下さい。各種ファイル形式(PDF/word/一太郎/)でダウンロードしていただくことができますので、お気づきのことがありましたら、どのような情報でも結構ですので、お教え下さい。(担当:和歌山県立博物館主査学芸員 大河内智之)