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博物館実習2010(補講)

少し更新が遅くなりましたが、昨日(9月1日)は、先月の博物館実習期間中に1日だけやむを得ない事情で欠席した実習生の補講をおこないました。
補講の内容は、ちょうど、本来の実習期間中には写真を撮り忘れてしまった部分でもありますので、あらためてここで紹介したいと思います。
(先月の博物館実習の内容は、こちら→博物館実習をご参照ください)
まず、午前中は、実習期間中の2日目におこなった掛軸の取り扱いです。
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細長い竹の先にヒモをかける部分がついた矢筈(やはず)という道具を使って掛軸をフックにかけます。
ゆっくり慎重に巻き下ろしていきましょう。
今回は、巻物のときと同じく、太巻(ふとまき)になっているものを練習しました。
掛軸の上から垂れ下がっている風帯(ふうたい)という部分が引っかかっているときには、
脚立(きゃたつ)などに登って丁寧に手で直してあげましょう。
このとき、掛軸がゆがんでいないかも確認。
きれいに掛けられたら、今度は巻き上げです。
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太巻は、一段低くなっている方を手前にして、セットしましょう。
太巻をきちんとはめられたら、巻き下ろしたのと同じ要領で、丁寧に巻き上げていきます。
画面が全部隠れるくらいまで巻き上げたら、再び矢筈を使って掛軸をフックから外します。
 
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風帯は、作品に向かって左側の風帯を先に折り畳み、次に右を折り畳みます。
巻緒(まきお)をかけるときに、作品が傷まないようにするための巻止(まきどめ)という当紙も巻きます。
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最後に巻緒をきちんと結んで、できあがりです。
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箱に入れるときにも、向きがあります。
八双(はっそう)のある少し太くなっている方を、箱の受木(うけぎ)の太い方に合わせて入れます。
今回は、二重箱になっていますが、箱の紐もきちんと結びましょう。
紐の結び方の要領は、茶道具の箱の紐などと同じです。
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バッチリ結べました。
このほかにも、さまざまな種類の掛軸をいくつか練習したあと、今度は掛軸をかける練習と、実習期間中の復習がてら、写真撮影のお手伝いもしてもらいました。
9月5日からのスポット展示に展示される資料の写真撮影です。
掛軸になった絵画が1点と、お茶碗などの陶磁器2点。
まず、絵画のライティングでは、左右から斜め45度くらいの角度で、同じ量の光を均等に当てます。
次の陶磁器では、光を反射しやすい撮影対象でもあったので、試行錯誤を重ねながら、光の適切な位置や量を決めていきました。
ライティングは、一緒にセットしましたが、実際のデジカメでの撮影は、実習生にしてもらいました。
次回のスポット展示で公開される写真は、実習生の撮影したものとなります。
乞うご期待。
(残念ながら、写真を撮影しているときは、わたしもカメラも手一杯だったので、そのときの写真はありません…)
そうこうしているうちに、お昼。
午後からは、博物館のとなりにある和歌山県立近代美術館の展示を見ながら、美術館と博物館の建物や展示の違いについて、少しお話しました。
同じ時に、同じ建築家によって建てられた美術館と博物館ですが、その用途や展示資料によって、展示室の使い方や色合い、動線やキャプションの置き方なども、ずいぶんと違うものです。
その後、15:00ごろからは、現在鋭意準備中の次回特別展
「京都・安楽寿院と紀州・?あらかわ?―木食応其を支えた僧・覚栄の事績を中心に―」
の図録の編集作業をお手伝いしてもらいました。
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図録の原稿と、写真パネルの原稿とで、異なっている部分がないか?とか、
難しい読み方の漢字には、ふりがながふられているか?とか、
誤字脱字がないか?とか、
同じ言葉を説明するのに、違う漢字を使ったり、違う説明の仕方をしていないか?とか
ある程度、統一の取れた表記の仕方をしているか?とか、
さまざまな観点から、図録や原稿の間違い探しをしてもらいました。
これも、特別展を担当したり、図録を編集したりする学芸員にとっては、もっとも大切で、もっともしんどい仕事の一つです。
さてさて、そんな一番面倒な仕事を手伝ってもらっているうちに、16:30を過ぎました。
実習ノートを書いて、いよいよ実習も終わりです。
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本当に、6日間、お疲れ様でした。
これで、全員の実習が無事終わったこととなります。
担当者にとっても、一段落です。
実習生は、まだ、レポート課題の提出が残っていますが、それぞれ頑張ってください。(学芸員 安永拓世)

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