今日(8月8日)は、博物館実習の6日目のようすです。
いつもの通り、9:00に博物館へ集合して、9:15に朝礼。
早いもので、今日で博物館実習も最終日です。
今日は、工芸品の取り扱いと、梱包などの実習を学びました。
まず、9:30?10:30ごろまでは、先日学んだ染織資料のたたみ方の実習。
袴の紐の結び方や、
襦袢のたたみ方、
着物のたたみ方、などを実際に練習してみました。
その後は、いよいよ刀剣の手入れのしかた。
みなさんのたっての希望もあって、全員で刀剣の手入れを学びました。
まずは、刃を上にして刀をゆっくり鞘(さや)から抜きます。
その後、目釘抜き(めくぎぬき)の先端で目釘(めくぎ)をゆるめて抜きます。
次に、右手でしっかり柄(つか)をにぎり、右手の拳の部分を左手でたたいて、刀を少し柄から出します。
刀が柄から少し出たら、金色の鎺(はばき)という部分をしっかり持って、柄から刀を抜き出します。
刀身の柄の部分である茎(なかご)をしっかり握って、金色の鎺(はばき)を抜くのですが、
これが、意外にむつかしい…
無事、刀身だけを抜き出せたら、今度は、刃の部分についた古い油を、柔らかいティッシュできれいにぬぐいます。
次に、打ち粉(うちこ)という細かい砥石(といし)の粉を刀身にポンポンと打ち付けて、
ティッシュで打ち粉をきれいにぬぐったら、
最後に新しい油をつけたネルの布で、やさしく丁寧に刃の部分をぬぐって、まんべんなく油を塗ります。
元の通り、金色の鎺(はばき)をはめて、柄に刀を入れたら、
刀を垂直に立てて、柄の下の部分をてのひらに軽く打ちつけます。
すると、きちんと刀の茎(なかご)が柄の中に入るのです。
最後まで、慎重に、刀を鞘にゆっくり収めましょう。
恐る恐る刀を取り扱っていたところもありましたが、みなさん、無事にきちんと手入れできました。
立派なものです。
でも、さすがに、手には汗をたくさんかいていたようです…。
刀剣の手入れには、予想以上に時間がかかったこともあり、途中で昼食タイムとなりました。
本日は、実習最終日ということもあり、全員そろって近くのお店で外食していました。
さて、その後は、梱包(こんぽう)実習。
実際に、さまざまなものを梱包してみて、その注意点などを学びました。
掛軸の梱包は、薄葉紙(うすようし)で軸を包んで箱に入れ、箱の中で軸が動かないように、緩衝材とします。
また、箱はハトロン紙と呼ばれる茶色の厚手の紙で包みます。
箱のないやきものなどの割れやすい作品の梱包には、真綿を薄葉紙で包んだ布団(ふとん)と呼ばれる緩衝材を用います。
2枚の布団の間に、作品よりも少し大きいくらいの正方形の段ボール板をはさんで、十文字に布団を包んで梱包です。
布団が互い違いになるように包めば、2枚の布団と2本の薄紐(うすひも、薄葉紙の繊維にそって切って作った紐)だけで作品が抜けないように梱包できます。
次に梱包するのは、絵巻物が3段の引き出しの中に収納された少し大きな箱です。
引き出しの中には、絵巻物が中で動かないように、薄葉紙をまるめた緩衝材を入れます。
引き出しや慳貪扉(けんどんとびら)の取っ手の金具には、輸送中にゆれて箱の蓋に当たって傷つけないように、薄葉紙を巻いておきましょう。
このような、少し重量のある作品や箱などは、ハトロン紙で包むと持ちにくいですし、ハトロン紙が破れる可能性もあるので、時と場合に応じて、エアキャップというプチプチのついた緩衝材で包む場合もあります。
エアキャップの上からは、持ちやすいようにナイロン製の太めの紐をかけます。
最後に、これらの梱包した作品を、大きめの段ボールに入れましょう。
原則としては、一つの作品を一つの段ボール箱に入れた方がよいのですが、やむを得ず、一つの段ボール箱に複数の作品を入れる場合には、入れる順序や場所をよく考えて。
重いものは底に、軽いものは上に、段ボール箱の中で、作品が動かないように、十分に布団などを詰めます。
最後に、蓋をして、ナイロン製の太めの紐をかけて終了。
紐の結び方も練習しました。
また、中に作品が少しでも入っている箱には、2本の紐をかけますが、中身の入っていない空の段ボール箱には、1本だけ紐をかけます。こうしておくと、パッと見ただけで、中身が入っているかどうかがわかります。また、空箱も、わざわざ開けてみなくていいので、便利です。ただし、1本紐をかける場合は、残ったもう1本の紐は、必ず箱の中に入れましょう。
ところで、こうしたルールも、梱包にたずさわる人全員が、共通認識として持っていて、全員がそのルールを守らないと意味がありません。梱包の作業も、お互いに確認しながらおこなわなければなりませんし、一人一人の責任も重大なのです。
さて、そうこうしているうちに、16:00。
その後は、展覧会の企画立案や、展示図面の書き方などを30分ほど講義。
現在、企画展示室で開催中の「江戸時代のくらしと活躍した人々」を例に挙げながら、展示の企画立案、展示資料の選択、展示図面の作成、報道機関への資料提供などの流れを説明しました。
16:30からは、課題についての説明と、最後の実習ノートの作成です。
レポート課題も大変ですが、みなさん頑張って書いてください。
実習生のみなさん、長いようで短かった6日間の博物館実習、ほんとうにお疲れ様でした。
これを機会に、実習生のみなさんも、ときどきは博物館に遊びに来てください。(学芸員 安永拓世)